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五竜岳その1
(遠見尾根登山口〜頂上)

 穂高岳山荘から奥穂は岩場の急登から始まる。クサリやハシゴもあり、意外に危険かも。ただ、岩場は長く続かずすぐにガレ場となり、程々な傾斜の上りが続く。穂高岳山荘は2983mという標高に有り、奥穂もすぐかと思いきや、意外に遠い。さすが日本3位の高峰だけある。

 岐阜県側の谷からは雲が湧いてきて、山頂を包んでしまう勢いだ。午後の山は雲が発生しやすく、この日も12時を過ぎた辺りから急に雲が増えてきたのだ。

 伸二郎にとって、登山の一番の目標は「晴れた頂上に立つ」こと。2日間かけて目指してきた山が今雲に包まれようとしている。かなり焦るが、重いザックを担いで登ってきた体が言うことを利かない。なんとかもう少し待っていて欲しい。。。
奥穂への道は基本的に危険は少ない。でも、案外標高差はあるのでそれなりに疲れる。 ジャンダルム。滝谷に負けず劣らずの大絶壁。いつこの道を行こうか。来年かな〜。

 目の前に壁のように垂直に切れ落ちる西穂からの稜線が見えてくると頂上はもう少しだ。それにしてもすごい迫力だ。大キレットの滝谷もそうだが、穂高連峰は他の山域とは迫力が桁違いだ。しかし、登山をしている以上、いつかは越えたい。ターゲットは来年のこの時期かな。

 いよいよ奥穂高の頂上が見えてきた。どうやら石垣みたいなものの上に祠があるところが頂上のようだ。祠の南側には展望案内盤が有り、もともとの頂上はこっちな気もする。まーそれはさておき、頂上で記念撮影をする時まではギリギリ晴れており、満足。
奥穂高頂上。日本三位の高峰だが、残念ながらちょっとガスって景色はそれほど見えんかった。

 頂上は南側から沸きあがるガスで南の展望が無く、北側の稜線と常念山脈が見えるくらいで、それほど感動的な景色ではなかった。まー、ガスでなんも見えんと言うわけでなかっただけましか。

 稜線の向こうにあるはずの槍の姿も見えず。ただ、見えてたとしても涸沢岳や北穂高岳からみるのと比べ、迫力は無いだろうな〜。やっぱ、槍が見たいなら北穂に行くべきだな。

 ガスが湧いてきたのと、先を急ぎたかったので奥穂の頂上を足早に後に前穂へと向かう。前穂への吊尾根はやはりガスに包まれて展望が利かず、ちょっと残念だ。
ガスが沸き、槍は見えず。まー、いままで散々眺めてきたからいいか。 前穂への道に湧くガス。うーむ、吊尾根の全貌が見たいのだが。。。

 吊尾根はその名の通り奥穂と前穂という2つの山の間に吊られた紐のような稜線で、中央が凹んでいる。で、最初のうちはひたすら下がる下がる。稜線の宿命だな。

 しばらく行くとガスもだんだん取れてきて、目の前に前穂のどっしりとした山容が見えてきた。吊尾根でつながっているものの、ここから見ると独立峰のように立派で迫力がある。感じからすると八ヶ岳の主峰・赤岳に良く似ている。美しく力強い山だ。
ガスが取れて見えてきた前穂。八ヶ岳の主峰・赤岳を思わせるとても立派な山容だ。ここから見ると独立峰だな。

 奥穂から前穂への分岐である紀美子平まではコースタイム70分。なんでそんなかかるんかいなと思っていたら、登山道を進むにつれて納得。コースが結構キツイのだ。クサリ場はそれほど多くないが、小さな岩場が多く、それが案外手強い。ジャブの様に効いて、それが積み重なり、長いコースタイムにつながっているのだ。

 そしてもう一つ意外だったのは案外危険なところだということ。スリリングな岩場こそ少ないけれど、切れ落ちた斜面を通る細い部分が結構あり、案外危ないのだ。こういった場所は難しいことも無く、あまり危険と感じずに通れてしまうが、道を踏み外せばどこまでも転がっていってしまう。そういったところが多くあるから、注意して進んだほうが良いだろう。
吊尾根はところどころ危険ポイントがある。案外気が抜けない。 吊尾根からみる岳沢と上高地。昨日見た光景を逆から見てるんだな。なんだか不思議な感じだ。
吊尾根は結構危険。それは岩場よりこういった切れ落ちた登山道が多いからだ。岩場より気が緩み易く、要注意。 また登山道が細いんだよね。つまずいて谷側にコケたらどこまでも転げ落ちてしまう。慎重に。

 やっとこさ紀美子平に到着した伸二郎はザックをデポして前穂を目指す。見上げる前穂頂上はとても遠く、道は険しく見える。コースタイムは上り30分。そんな時間で行けるんか?と思いつつ登りだす。

 案の定、コースは険しく、そして迷いやすい。クサリは一つも無かった(様な気がする)が岩場は結構難しく、危険な場所もチラホラ。ザックをデポしてきたから問題ないが、ザックを背負っていたら結構苦戦しただろうな。

 結局、頂上に着いたのは25分後。荷物を背負っていたら30分くらいだっただろうか。コースタイム通りだ。うーん、やるな登山ガイド。。。
前穂への分岐点である紀美子平。ここでザックをデポして前穂へレッツラゴー。 意外に前穂の頂上は遠い。ここのコースタイムは結構きびしめだ。
前穂の登りは結構キツイ。岩場が手強いのだ。鎖こそ無いが、鎖があっても良さそうなくらい。道も迷いやすい。 意外なほど広い前穂頂上。とても開放的。時間があればゆっくりしたかった。

 前穂の頂上はそれまでの険しい道がウソのように広々かつ緩やかな場所だった。展望は360度。文句なし。今まで通ってきた吊尾根の向こうにはどっしりと大きい奥穂。南をいみると遠く乗鞍のたおやかな姿が見える。すぐ下を見れば鋭い明神岳の稜線の向こうに上高地が見える。見事な景色だ。
ガス巻く奥穂。こうして見ると奥穂のでかさが良く分かる。さすが穂高連峰の主峰。 乗鞍も近い。こっちとはことなり、とてもなだらかな山容だ。
迫力ある明神岳と上高地。傾いた日が照らし、和やかな雰囲気。天気に恵まれ素敵なひと時を過ごせた。

 前穂でしばらくぼんやりしたあと、来た道を戻り、紀美子平へ。紀美子平からは北アルプス三大急登で知られる重太郎新道を下り岳沢ヒュッテへ向かう。

 重太郎新道上部は逆層スラブが多く、雨が降るととても滑りやすそうだ。晴れていたこの日でも時々足元を取られた。そんな場所を過ぎるとしばらく稜線の下り。急傾斜でザックを背負う肩や背中がキツイが、景色がとても良いので我慢できる。特に明神岳の姿が格別だ。

 美しく並んだ明神のピークは何でこれが百名山でないのか?と不思議になるほど。きちんとした登山ルートさえあればきっと百名山になったろうに。残念だ。
重太郎新道上部は逆層スラブが多く、滑りやすい。雨の日は特に注意が必要だろう。 それにしても岳沢ヒュッテは遠い。さすが北アルプス三大急登だ。
綺麗に並んだ明神三兄弟。明神岳はとても綺麗な山だ。重太郎新道上部は常にこの明神岳を眺められる。

 重太郎新道は三大急登の名に恥じぬ急登ぶりをいかんなく発揮し、ずっと急登が続く。さらにこの道がキツイのは登山道が荒れていること。傾斜が急な上に登山道はとこどころで無残に崩壊し、いつ落石が起きてもおかしくないような場所がチラホラ見られた。足がかけにくい上に常に落石に神経を尖らせるのはとてもきつかった。

 結局コースタイムよりやや時間がかかってやっとこさ岳沢ヒュッテのテン場に着く。しかし、人っ子一人いない。おかしい。

 先ほどまでの落石が怖い登山道の印象もあって、一人でテントを張るのが怖く、とりあえず岳沢ヒュッテ跡まで行って見るとなんとヒュッテの跡も形も残らず、更地が広がっているではないか!

 確かに岳沢ヒュッテがダメになったのはインターネットで知っていたが、これほどまでに綺麗さっぱり無くなっているとは思いもよらなかった。しかも、テント禁止!なるほど、通りで誰もいないはずだ。

 どうしようかと悩んだが、既に時刻は17時30分。ここから上高地までは2時間強。暗い中登山道を行くのは危険だし、何よりも怖くてたまらん。しかもこれ以上行ってはヒザがやられてしまいそうだ。。。

 泊まるしかない。それ以外に頭に浮かぶ手段は無かった。で、ごめんなさいしてテントを張らしてもらった。落石がなんか気になったので、もっとも安全そうなところを選んでテントを張って中に入った。
すごい傾斜で落ちていく断崖。穂高はダイナミックだ。 三大急登の名に恥じぬ急傾斜。さらに厳しいのは結構道が荒れてること。落石もおきやすそう。。。
まさかの更地。岳沢ヒュッテがここまで綺麗になくなってるとは思いもよらなかった。 ぬぁんとテン場使用禁止!聞いてないよー(Fromダチョウ倶楽部)。

 この日の夜はかなり厳しいものだった。岳沢ヒュッテには水場が無いのだ。それを知らなかった伸二郎は軽量化の為に水を全部捨ててここにきていたので、水が一切無い。カップ麺もアルファ米も食べれず、食べれるものは残っていたカロリーメイト2本とアメのみ。とても寂しい夕食となってしまった。

 食事よりもさらに厳しかったのが飲み物。飲めるものはペットボトルに残っていたわずか300ml程度のジュースのみ。長い登山を経て体が水分を欲しがっている時にこの量は少なすぎた。夜は飲みたい気持ちをグッとこらえ、ちびちびと喉を潤し我慢した。いやー辛かった。やっぱ人間は水が無いと生きていけんなー。

 朝が恋しい夜は永遠かと思うほど(ウソ。ちょっとオーバー)永く、辛いものだった。。。


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