猫とバイクを愛する男のツーリング、登山、
車での観光記録と愛猫の紹介。

北海道、東北 上信、北関東 南関東 北アルプス 八ヶ岳、中央/南アルプス 西日本 登山装備紹介
みずがき山 '05年10月
(不帰ノ嶮)

 朝起きてテントの外を見ると、ガスってなんも見えない。うーん、晴れてると思ったんだが(根拠無し)。トイレの為に山荘に行くと、天気予報をやっていた。それによると、午前中曇り、午後ずっと雨。うーん、伸二郎劣勢。このままでは賭けに負けるかも。

 テントにもどり、食事を済ませる。相変わらずガスは晴れないが、雨は幸い降っていない。テントを撤収していざ出発。

 昨日絶景だった唐松岳頂上はどんよりした雲に覆われていたが、意外にもガスはあまりかかっていない。よく見ると、剣岳方面の眺めも見える。こりゃ、結構いけるんじゃないか。
翌朝、やはり周りの音で目が覚める。ジャージマンはまだ寝てるようだ。 唐松岳まで登ると、ガスが取れてきた。空にはどんよりした雲が広がる。ただ、大荒れではなさげだ。

 不帰ノ嶮に向かい歩いていく。最初は岩場でない斜面を下っていく。不帰三峰に気付かなかったので、おそらく三峰は頂上を巻いているのだろう。

 いったん下りきって、再び上りかえす。稜線の宿命とは言え、上り返しはいつでもキツイ。上り返しまで楽しめるように、体力つけんとな〜。
ガスが流れる稜線を行く。思ったよりも安全な道。 稜線歩きの宿命であるアップダウン。分かっていてもやはり辛い。

 坂を上りきると、不帰二峰の南峰。って、不帰二峰は南峰、北峰に分かれてたんだ。初めて知ったよ。

 不帰二峰の南峰から先はやっとこさ危険っぽくなってきた。おそらく北峰と思われるピークまではヤセ尾根だ。ただ、実際、登山道を歩いてみると十分な幅があり、ちょっと登山道を外れたらまっさかさまって訳ではなかった。
難なく不帰二峰南峰に着く。どうやら、不帰二峰は南峰、北峰に別れているようだ。 不帰二峰南峰から北峰への道はヤセ尾根を行く。ちょっと危険箇所っぽくなってきたな。

 この辺りから高山植物が結構綺麗になってきた。稜線にはチングルマの群落、ハクサンシャクナゲなど様々な高山植物があり、退屈な登山道に文字通り花を添えていた。
チングルマさんこんにちは。いつ見ても良い形ですね。 意外にもシャクナゲが結構多かった。高いところにもあるんだな〜。

 不帰二峰にはいかにも「これから危険地帯だぞ」っていう看板があった。ようやくきたかー。

 そして、思ったとおりに鎖場出現。取り掛かりは足場が不安定で危険だ。その後はそれほど急では無いが、ずっと行ったら下までさようならーってとこがチラホラある。きちんと鎖が張られているので、それを掴んで行けば大丈夫だろうが、要注意である。
不帰二峰の北峰。看板が鎖についているあたり、危険箇所っぽさが出ている。 すぐに始まった鎖場。鎖を使わなくても行けるが、滑りやすく、油断はできん。

 伸二郎は基本的に鎖場で鎖を使わない。鎖はあくまで補助であり、基本的には使わなくてもいけるからだ。また、鎖を使わないほうが自然な姿勢に慣れるし、なんといっても「鎖=中高年の為にあるもの」との先入観から使うのに抵抗があるのだ。

 で、今回もまったく使わなかったのだが、グッチは違う。おそらくグッチは高所恐怖症なのだろう。見栄っ張りなので、「鎖を使わなくてもいける」みたいなことをのブツブツ言いながら鎖を使い下る。そんなグッチをデビル伸二郎は容赦なくからかう。パートナー選びを失敗しなたジャージマン。
カッパを着込むジャージ男は初めての本格的な鎖場にビビリ全開。が、口だけは相変わらず立派。 不帰二峰北峰の下りは長野側を行く。時折唐松岳の姿が見える。青空に残雪の山が綺麗だ。

 岩場と細い巻き道を繰り返し、いよいよ最大の難所が来た。心配になるくらい細い鉄の橋の向こうに足場が不安定で傾斜のキツイ岩場が現れる。足を踏み外したら人生シャットダウンだろう。

 橋を渡り、気を引き締めて岩場に取り付こうとすると、後でしょーもない声がする。

 「うおー、これ渡れるのか、怖えー。大丈夫かこれ。」

 もちろん、声の主はビビリチャンプ谷口だ。ほんの2m程の橋を渡るのにずいぶん大げさな。

 「さっさと来いよ。死にゃしねーよ。」(伸二郎)
 
 「いや、これマジでヤバイっすよ。しゃれになんねー。」(ジャージ男)

 「うるせー、がたがた言わずさっさと渡れ。」(伸二郎)

 まったく、この男は何かにつけて大げさだ。次の岩場が思いやられると思いきや、意外にもこちらは大丈夫みたいで、

 「ホントは鎖を使いたくないんですけど、時間がかかっちゃ悪いから使います」(ジャージ男)

 などと見栄っ張りなセリフを言う余裕があった。こいつの怖さの基準が良くわからんな。
ハクサンイチゲ。白く、清らかな花。
完全に腰が引けるジャージ男。それでも見栄っ張りなセリフを口走る。今年の見栄っ張り大賞は間違いないな。 不帰二峰の北壁。不帰ノ嶮でもっとも危険な場所。鎖はしっかり整備されており、問題ないが、くれぐれも慎重に。

 そんなかんなで不帰ノ嶮の一番の難所(不帰二峰北壁)を乗り切り、不帰一峰の上りに取り付く。ここからは危険箇所はほとんど無い。それほど緊張とかはしなかったが、やはりホッとする。

 ここから先は体力勝負の道。先ほどまで小さくなっていたジャージ男は急に元気になり、自慢の体力でぐんぐん上って行く。伸二郎はついていけず、あっちゅーまにぶっちぎられる。エライので時折振り返り、不帰二峰の岩壁を写真に収めながらゆっくりと上って行く。

 改めて北壁に取り付く小さな登山者の姿を見ると、あんなとこ良く降りてこれたなーと感心する。実際、それほど難しいところでもないんだけどね。やっぱ遠くから見るだけじゃわからんもんだなー。
不帰一峰への登りから不帰二峰の北壁を望む。岩場がとてもダイナミックだ。(中央下の赤い点みたいなのが登山者)

 ちょっぴりキツイ上りを終えると、不帰一峰の頂上につく。ここから北は天狗の大下りに向かい伸びやかな稜線の道だ。危険箇所は終了。不帰ノ嶮は一部が危険なだけで、全体で見るとそれほど危険なとこでも無かったな。
不帰一峰。ここまでくればもう安心だ。 不帰一峰から天狗の大下りへと伸びる稜線。なだらか。


その1 | その2 | その3 | その4 | その5 | その6

不帰ノ嶮トップへ
登山-北アルプスへ戻る登山トップへ戻る