猫とバイクを愛する男のツーリング、登山、
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その4



4/29

3:30に起床。風は依然として強く吹き、穏やかな晴天を予想した伸二郎のやる気をなくさせる。体調もイマイチで日の出を撮る気にならない。

このまま日が高く暖かくなるまで寝ていようか。そう思って再びシュラフでウダウダしていたが、カップ麺を食べ腹が膨れると気力が湧いてきた。

くそ重い荷物を担いで寒い中テントを張って俺は何をしに来たんだ?綺麗な景色を見に来たんじゃないのか?ここで写真を撮らねばいつ撮るんだ?ベストを尽くせ。

心の底からやる気が湧いてくる。そうだ、ベストを尽くすんだ。ふんぬー!

ありったけの服を着込み、カイロを張って寒さ対策をし、カメラを持ってテントの外へ。東の空を見ると地平線から昇ったばかりの太陽があった。よっしゃ、間に合ったぞ。
目の前の大喰岳は朝日に照らされてピンクに染まり、美しい。奥の乗鞍もくっきり見える。
槍ヶ岳山荘の方に行くと強風の中、槍が静かにたたずんでいた。今日は登りに行くよ。
谷を挟んで東には常念山脈。常念は雪が少ないな。

奥に見えるのは浅間山か。浅間山はすっかり噴煙が見えなくなったな。火山活動がだいぶ落ち着いたんだな。
視線を右に移せば遠く南アルプスと富士山。少し薄雲はかかっているが、景色は上々だ。
西を見れば西鎌と双六・黒部五郎。こちらは雪が多く、真っ白でとても綺麗だ。少し気になるのは奥に見える黒い雲。あれはなんなんだろう?
気合を入れてテントの外へ出て良かった。満足してテントへと戻る。

伸二郎のテントは中央左にある緑の小さなやつ。一番下側に張って南側の眺めはピカイチ。

テントに戻ってコーヒーでも飲んでまったりするか。。。
テントに戻ると、風がさらに強くなってきた。

コーヒーを飲みながら景色でも見ようとテントの入口を開けると、驚きの景色が広がっていた。

さっきまでの青空はどこへやら、猛烈な勢いでガスが流れてきたのだ。谷にあった湿気が上がってきて一時的にガスってるだけだろうと思っていたが、一向にガスは晴れない。それどころかさらに濃くなっていき、辺りはホワイトアウト状態。

うーん、これはまずい。

槍ヶ岳山荘に行くと、皆伸二郎と同じように予想外のできごとに戸惑っているようだ。とりあえず、1時間ほど待ってみるが、外の状況は一向に良くならず、ホワイトアウトが続く。

こんな中登っても景色が見れんし面白くない。ここまで来て槍登頂を諦めるのは悔し過ぎる。てなわけでもう1時間待ってみることに。

他の人が続々と諦めて山を下って行く中で諦めの悪い男伸二郎はひたすら天気が回復するのを待つ。小屋では客もほぼゼロになり、従業員がせっせと掃除をはじめだした。

さすがに伸二郎も限界に近づき、10:00までに晴れなかったら山を下りようと決めた。それまでにとりあえず強風の中テントを撤収し、出発の準備だけはしておく。

外は時折明るくなったりして次第に天気が回復してるようなのはわかった。が、ガスが切れることは無く、いよいよダメかと思ったその時、空に太陽の姿が。おおー、ついに来たー!

時刻は10:00ちょっと前。ギリギリだったな。

姿を見せだした槍に向かって歩き出す。先を見ると既に4名の登山者が槍に登ろうとしていた。
ピッケルを2本装備し、伸二郎も槍に取り付く。雪の斜面を登り、西側に回り込むと、最初の難関が現れる。傾斜の強い岩場だ。
夏場ならなんてことはないが、雪が付くとちょっと難しい。いや、雪よりも氷のせいか。一面雪が付いていればピッケルが刺さり安定して登れるが、雪は部分的にしかなく、その中には氷が多くあって、ピッケル・アイゼンが刺しにくい。

足、ピッケルの掛かりが十分でなく、少し緊張する。
ピッケルを使ったり、手で岩を掴んだりして、なるべく安定するような形で登って行き、ハシゴまでたどり着く。

ハシゴを越えると岩に鉄杭が刺さった岩場となり、これを越えると傾斜の強い雪壁となる。

雪壁ではハーネスを持ったパーティーがロープを準備中で止まっていた。一人初心者がいるようで、道を開けることもできないようで、ピッケルを2本刺して、横の雪壁を登って行く。ピッケルさえ刺されば雪壁は怖くない。
雪壁を越えるとあとは最後の垂直ハシゴのみ。しっかりと梯子を掴んで登って行くと槍ヶ岳頂上到着。緊張したなぁ。
ちょうど伸二郎がハシゴを登って行くときに上にいた登山者が降りていったので、頂上には伸二郎一人だけだった。

景色はガスが晴れきらないこともあってそれほど素晴らしいものではなかったが、晴れて頂上に立てたことにとても満足した。ガスって登らんかったら来年リベンジしにここに来なかんかったもんなー。

少し待っているとロープのパーティーが到着し、写真を撮ってもらった。社は風のせいか、少し傾いていた。
奥穂へと続く稜線。まだ空は暗いが、時期に晴れてくるだろう。思いもよらない悪天にビビったが、晴れてきて良かった。


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槍ヶ岳 2013年4月27〜30日

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