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みずがき山 '05年10月
(上高地〜横尾〜槍沢ロッヂ)

朝。外に出ると、晴れ予想に反して、曇り。おかしい。ま、そのうち晴れるでしょと出発。

初めのうちは森の中を進む。傾斜があり、朝一には結構辛い。ひと登りすると傾斜は弱まり、少し開けた場所に出る。この辺が槍沢小屋跡地で現在はテン場になっている。

槍沢小屋辺りで少し休憩してると、視界が急に開けて青空と雪を抱く峰々が現れた。ちょっと感動である。ガスは急速に取れていき、みるみる辺りの素晴しい景色が現れてきた。山は紅葉真っ盛りだった。
朝起きると、雨は降ってないが、霧がかかっている。しかし、今日は晴れるはず。さあ、出発だ。 静かな森の中を進むと、やがて、視界が開け、少し進むと槍沢小屋跡地に着く。ここはキャンプ指定地になっている。
槍沢小屋跡地あたりから霧がはれてきた。山はちょうど紅葉が良い感じ。雲ひとつ無い青空に紅葉が映える。 平坦なババ谷を緩やかに登るとやがて大曲となる。

ババ谷はしばらく平坦な道だが、槍沢大曲りより傾斜が増してくる。しばらく進むと谷の中央にこんもりした丘が現れる。これはモレーンといって、氷河が削り、押してきた土が氷河が溶けて丘となったもの。雪景色の中、紅葉真っ盛りのモレーンはとても綺麗だった。

モレーンの横辺りから傾斜はさらに増し、とてもキツクなる。モレーンを過ぎた辺りで天狗原への分岐がある。天狗原にある天狗池は池に移った槍がとても綺麗なことで有名。

昨晩泊まった槍沢ロッヂでカメラ好きらしい登山者があそこは良いと熱弁していたので、とりあえず行って見る事にする。天狗池へは分岐から40分程だそう。
大曲では水俣乗越への分岐がある。槍ヶ岳方面へと進む。 すると、正面に雪山と、氷河が作り出した面白い地形・モレーンが目に入る。モレーンがちょうど紅葉して綺麗だ。
モレーンの横を過ぎた辺りで天狗原への分岐がある。 天狗原へは分岐から40分程度。

天狗原への分岐からは緩やかな登り。急登から一時開放されて、気分が良い。雪面には真っ赤に紅葉したナナカマドがとても綺麗で、一面の白銀の世界に彩を加えていた。ビバナナカマド。

潅木の斜面を登り、岩が増えてくると、天狗池はすぐだ。この辺りになると、積雪量は20cmを越えてくる。

岩をぴょんぴょんと越えて、視界が開けるとすぐ近くに天狗池の姿が見えた。思ってたよりずっとちいさくて何の変哲も無い池に見える。まー、とりあえず近づいてみるか。

池の裏側に行くと、なるほど、池に槍が写って見える。正面の槍と池に写った槍とがボチボチな構図みたいだ。ただ、それほど素晴しいとは思えんが。。。

それでも気合の入ったカメラマンにはとても魅力的なものらしく、「そこどいて、写真に写りこんじゃうでしょ!」と何の権限も無いのに自分勝手なえらそうなことを言うクソカメラマンがいた。あーゆう人間のクズにはならんように俺は気をつけよう。

あっ、そうそう、天狗原への道の途中から見る槍はとても綺麗だった。おそらく、天狗池付近から見る槍の2倍は綺麗だ。
天狗原への道の途中、紅葉したナナカマドの向こうに槍が見えてきた。 天狗原へは思ってたより距離があった。この岩場を過ぎると、いよいよ天狗池だ。
天狗池は小ぢんまりした池。なんの変哲も無い池に見えるが、写真家の間ではかなり人気の有る池だ。 天狗池が人気なのは、槍ヶ岳が池に映るから。正面にそびえる槍と、逆さに映る槍のカットはとても魅力的らしい。
個人的には天狗池から見る景色よりも天狗原への途中から見る景色のほうが良いと思う。正面にそびえる槍へは結構きつそうな上りがあるな。

天狗原からもどり、槍に向けてせっせと歩く。傾斜のキツイつづら折れは本当にキツかった。たぶん、今回の登山の中で一番キツかったな。

そんなきっつーい登りを終えると、グリーンバンドと呼ばれる広い場所に出る。ここからは常に槍の姿を眺めながらの登山となる。

グリーンバンドからは少し傾斜の緩くなった登り。それでもいままでの登りがたたって、なかなかキツイ。少し登っては休憩して、また少し登るといった具合にゆっくりと登る。今日は時間もあるしゆっくり行けばいい。
天狗原への分岐まで戻ってくると、早速きっつーい上り。槍も見えないし、ここが一番の踏ん張りどころだった。 やがて正面に槍が見えてくると傾斜も緩やかになった。ここで槍を眺めての休憩。秋らしい雲が綺麗だ。

しばらく登ると、槍ヶ岳を開山した播隆上人が泊まったといわれる坊主岩小屋がある。小屋といっても実際には小屋でなく、岩が重なった穴なんだけどね。

坊主岩小屋を過ぎたら背後の視界が開ける。振り返れば南アの山並みの向こうに富士山の姿が見えた。こんなに離れた場所から富士山が見れるなんてちょっと驚いた。

しばらく登っていくと、殺生ヒュッテへの分岐があり、それを過ぎると槍の姿はいよいよ大きく、そそり立つ槍の穂先とても迫力がある。
坊主岩小屋。槍ヶ岳を開山した播隆上人が利用していた小屋で中に入ることができる。 その後も続く、雪の斜面は結構疲れたが、景色が後押ししてくれた。振り返ると、遠くに富士の姿が見えた。
殺生ヒュッテへの分岐を過ぎて、槍ヶ岳小屋への最後の上り。正面にそびえる槍の穂先を見つめながらもうひと踏ん張りだ。

槍ヶ岳山荘までは急傾斜をつづら折れに登る。思ったほどはキツクないが、さすがに最後のほうはバテた。

槍ヶ岳山荘は展望バツグンの素晴しい場所に建っていた。小屋前のベンチからは目前に迫り来る槍や常念から蝶にかけての稜線、遠く八ヶ岳や南アルプス、富士山の大展望が広がる。素晴しい!

小屋前で展望を楽しみながらしばし休憩。槍を良く見ると、登山者の姿がちらほら。「のぼってんねー。きつそうだねー。」などとまったりしていたが、早いとこ登らんと夕方になりそうだったのでリポD飲んで気合を入れてレッツラゴー。
最後の傾斜をつづら折れに登っていくと、槍ヶ岳山荘到着。 山荘前で休憩した後、リポDを飲んでファイト一発だ。さあ、槍の穂先へレッツラゴー。

槍に近づくと、思った以上に傾斜が強い。雪も有り登山ルートがちょっと不明確でスリル倍増。「ここか、いや、こっちかな」などとルートを確かめながら登っていく。

下を除けば足に電気が走っちゃいそうな断崖が続く。落ちたら死ぬこと間違いなしだなこりゃ。鎖やハシゴがあるとは言え、なかなかの危険度だ。

ちょっとビビリながらも最後のおっかないハシゴまでたどり着き、ついに歓喜の頂上に立つ。ついに槍の穂先に立ったんだ。感動。

頂上には他に誰もおらず、なんちゅーか、頂上独り占め。何たる贅沢。雪が降ったおかげで登山者がグッと減ったからかな。そう考えれば、昨日の嵐も今日の素晴しい展望を作り出すための演出だったのかもなー。
槍の穂先を良く見ると、岩にへばりつくように登る登山者が見える。おおっ、気合が入るぜ。 思っていたよりも傾斜があり、危険度抜群。ハシゴや鎖があるとはいえ、落ちればあの世行き。緊張が走る。
下を見ると、恐ろしい斜面が広がる。頭の中は中森明菜のデザイアーが流れる。この歌を選択し、流す我がセンスが憎いぜ。「まっさかさーまーにおちてでざいあー。。。」 険しい道のりもこの2段ハシゴで最後。いよいよ歓喜の頂上だ。
誰もいない頂上には小さな祠がぽつんと立つのみ。自分だけの別天地が広がっていた。道が険しかった分喜びも大きい。ついに槍の穂先に立ったんだな。

頂上からは紛れも無い360度の展望。笠ヶ岳、立山連峰、後立山連峰、八ヶ岳、南・中央アルプス、富士、穂高に続く稜線、どれもが素晴しく、大満足。

しばらくまったりしていたら、ついに他の登山者が登ってきた。記念写真を撮ってもらい、この素晴しい頂上ともお別れ。ちょっぴり恐ろしい小屋までの道を行く。

下りで気づいたんだが、どうやら登りと下りでルートが別れているみたい。雪で気付かなかったな。どうやら左側通行みたいです。こんど登る人はご参考に。
頂上からはまさに360度のパノラマ。快晴とあって、360度の絶景が広がっていた。
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小屋に帰り、まったりする。空には秋らしい雲。目の前に槍。いんやー、贅沢な時間じゃ。ああ、槍は素晴しき也。

夕食を済ませると、外は夕日が沈むとこだった。今日の夕日は格別に綺麗だ。こんな綺麗な夕日ははじめて。

やがて夕日は沈み、空に浮かぶ雲を赤く染め上げる。美しい。すぐそばではアマチュアカメラマン(かな)による夕焼け撮影会が開かれていた。

リーダーらしき人のアドバイスを聞き、皆夢中にシャッターを切る。無理も無いな、こんなに綺麗な夕焼けを撮るチャンスに出会えたんだから。。。
山荘で食事をする前に外に出た。空には秋の雲が広がっていた。 山で綺麗な夕日を見たのは初めてだ。なんという幸運。やっぱり槍は素晴らしい。
山荘横から夕日にシャッターを切る登山者。雲海の向こうに沈んだ夕日はしばらく空を美しく彩っていた。

やがてあたりは暗くなり、空には星が輝いていた。寒さに耐え切れず、小屋に入り、談話室でぼーっとしたのち、寝床に行く。今日は冷える。暖かくして寝よう。。。



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