朝、食事を早々に切り上げて外に出る。闇夜にうっすらと明かりが差す。水平線はオレンジ色に染まり、空は深い青色に染まる。美しい。日の出前の美しさに気付いたのはこれが初めてだ。 しばらくすると東の空はいよいよ明るさを増し、常念の隣から朝日が昇る。やわらかな光だ。案外、赤くないもんだな。でも、オレンジの柔らかな光もなかなか良いもんだ。 遠くには八ヶ岳と南アルプスが美しくたたずみ、その向こうではどこから見てもその秀麗な容姿を崩さない富士の姿があった。 |
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あたり一面の闇に明かりが見えてきた。もうすぐ夜明けだ。 | 明るくなった地平線から太陽が上がった。朝日に浮かび上がる常念が美しい。 |
柔らかな朝の光に浮かび上がる八ヶ岳、南アルプスと富士。こんなに綺麗な朝は初めてだ。 | |
槍は朝日に照らされほんのりピンクに染まっていた。雪のおかげで、いつもより綺麗だっただろう。得したな。 登山の本・HP等では、よくモルゲンロートに染まる槍ヶ岳などという言葉を使っているが、モルゲンロートとはドイツ語で「朝焼け」のこと。ドイツ語を使う辺りが、登山っぽい。 3000m峰の素晴しい朝日を満喫した後で、小屋に戻り、出発の準備をする。小屋を出るとすっかり太陽は高度を上げ、目の前には朝靄に輝く白銀の世界が広がっていた。今日も素晴しい一日が始まりだ。 |
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朝日に照らされる槍ヶ岳と山荘。 | 日が高くなるにつれ、空の色が青くなっていく。今日も晴天だ。 |
朝のすがすがしい空気の中、アイゼンを装備し、いざ下山開始。 | |
この日の為に買っといた軽アイゼンをつけていざ出発。軽アイゼンとはいえ、威力は絶大で、滑ることなく、安心して斜面を下ることができた。素晴しきかな軽アイゼン。 モレーンまで下っていくと、雪がだいぶ解けて、昨日見えなかった場所にも美しい紅葉が広がっていた。この季節は紅葉も楽しめていいな。 さらに下っていくと、雪はすっかり解けてなくなり、歩きやすくなる。登山道脇には秋でもまだ高山植物が咲いていた。秋に花が見られるのはうれしい。 |
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昨日一旦溶けた雪は夜の間に凍っていたが、アイゼンのおかげで滑ることなく下れた。軽アイゼンは常備しんとな。 | 昨日は一面の銀世界だった場所も雪が溶けて綺麗な紅葉が見えていた。 |
コガネギクかな。山に秋を告げる鮮やかな花。 | オオヤマノリンドウ。つぼみに見えるけど、これがこの花の形。ちょっともどかしいね。 |
ババ平付近は一番紅葉が綺麗な盛り。青空に白い岩峰、色とりどりの紅葉の木々、素晴しい景色だ。通りすぎてしまうのが余りに惜しくて何度も立ち止まって写真を撮る。 名残惜しい気持ちをいっぱいだが、仕方なく山を下る。振り返ると紅葉の谷の向こうに雪をまとった峰々が美しかった。素晴しい景色をありがとう。 やがて、道は森の中へと入って行き、素晴しい景色ともお別れ。あとは上高地までずんずん歩くのみ。 |
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槍沢は紅葉真っ盛り。木々は色とりどりに紅葉し、とても綺麗だった。 | |
槍沢で振り返る。紅葉の木々と、雪山のコントラストが綺麗だ。一年の中で今だけしか味わうことのできない景色。 | 途中槍見沢より見た槍の穂先。うーん、迫力無し。やっぱり槍は近くから見ないとな。 |
雨の中でも美しかった槍沢は晴天下ではさらに美しかった。水が青いって素敵だな。 森の中へ入ると景色は見れなくなった。ひたすらずんずん進み、横尾に着く。横尾からは屏風岩と前穂の姿が綺麗だった。 横尾からは沢沿いの道が気持ちよかった。初日は見えなかったが、ずっと前穂の姿が見えて、結構景色が良い。いつか前穂にも登りたいな。 徳沢からはひたすら森の中を進んで行き、14時に上高地バスターミナルに着いた。 バスターミナルでお土産を買った後、バスに乗り込み、アカンダナ駐車場に行く。駐車場からはバイクで無事に帰宅。今回の登山は天気に恵まれ大満足だった。槍は想像していたよりもさらに良く、とってもお勧め。 |
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槍沢ロッヂを過ぎると槍沢も立派な川となる。水が透き通り、美しい。 | 槍沢ロッヂ以降、上高地までずっと平坦な道。大体が森の中。 |
槍沢ロッヂから1時間ちょっとで横尾到着。顔を出した前穂が迫力ある。 | 横尾からの道は森の中と川辺を繰り返す。徳沢以降も同じ。 |
初日には見えなかった明神岳もしっかり見える。もう雪は溶けたようだ。 | 上高地より穂高を望む。今度は穂高の頂上に立ちたいな。 |
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