GWの予定は正月が終わってすぐに白峰三山と決めていた。厳冬期に白峰三山を縦走する気力が湧いてこんのじゃないかと思って、お気楽なGWに登っとこうと考えたからだ。 しかし、4月に焼岳からみた雪たっぷりの双六方面の景色を見て、心が揺れた。あの豊富な雪の中を黒部五郎まで歩いてみたい。 しばらく考えた結果、正月でも登れんことはない白峰三山でなく、この季節にしか雪山に登れない双六・黒部五郎岳に決めた。正月に白峰三山登る気力が湧かなくて今年敗退したのに。来年は行けんのか。。。 なにはともあれ、双六、黒部五郎方面に行くと決まったので準備に取り掛かる。登山道の最初は長い林道歩き。退屈だし、時間がかかるからチャリンコ持参だ。 チャリンコは泥除けが無く、焼岳の帰り、えらい泥水をかぶってしまったので、泥除けをつけることに。 どうせつけるならとフルカバードタイプにしようとしたら純正は無く、ネットでいろいろと調べる羽目に。時間が無かったので、取り付けは出発当日になってしまった。 4/26 泥除けをつけようとするが、さすがに違うメーカーのはすんなり取り付かない。ちょうど良いボルト買って来たり、パイプ曲げたりとかして結構な時間がかかったが何とか完成。おかげで出発は夕方になってしまった。 |
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ちょっと気になるのは空模様。今日の午後から雨予報なのだが、気温が低い。平地の気温から山の気温を推定すると山は雨でなく雪になるくらい。というか、途中の峠道ももしかしたら雪が降るかもしれない。うーん、夏タイヤに替えたばっかりなのに。。。 そんなことを気にしながらも東海北陸道を順調に北へ。 が、やっぱり心配は当たってしまい、高鷲を過ぎた頃から「雪、注意」の電光掲示。うーん、ここで雪ってことは平湯峠や新穂高はまずいことになってるかも。。。 ちょっと心配になりながらひるがの高原SAで夕食。食べたのはけいちゃん唐揚げ定食(700円)。注文を受けてから揚げるので唐揚げはアツアツジューシー。味も良く満足。汁物はお味噌汁でなく豚汁だったしなかなか良い定食だった。おすすめ。 |
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さて、お腹も膨れたところで再び高速を走り出す。雪が風に舞いいやーな感じ。気温は冬ほどは低くないのでまだこの辺は大丈夫だが、平湯峠が心配だ。 高山市に入るといったん雨に変わったが、平湯峠に向かい標高を上げていくと雨はみぞれ、雪へと変わって行った。道路には積雪していなかったが峠に近づくにつれ雪は強く降り、道路脇に積雪が現れる。 むぅ、GWまでスタッドレスにしておくべきだったと後悔しながら進んでいくとついに道路に積雪が。心臓はバクバク高鳴り、ハンドルを握る手には力が入る。 一度止まったら、もう登ることはできないだろう。速度が低下しない範囲でなるべくアクセルを緩く踏み続ける。前を走る車も走り方からしてノーマルタイヤなのだろう。そうだよな、皆ここで雪に見舞われるなんて想像してなかったもんなー。 一度少しだけ滑ったが、何とか峠を登り切り、平湯トンネルに入る。一度は雪から解放されるが、問題はトンネル後に来るループ橋だ。あそこは凍結してるかもしれない。大丈夫だろうか。 さらにドキドキしながらトンネルを越えると、やはりループ橋にはこれまでよりも積雪があり、ドキドキは最高潮に。スピードを落として慎重にハンドル・アクセル操作をして、なんとかループを越える。平湯温泉に向けて下って行くと道路の雪は減って少しほっとする。 今日は途中の道の駅で泊まろうかと思ったが、雪が積もっていたら明日の朝移動するのは困難だ。今日中に新穂高まで走りきろう。 平湯からどんどん標高を落としていくと雪は再び雨に変わった。栃尾温泉で新穂高方面に走る。道路の積雪は無く、無事に新穂高温泉の登山者Pに到着。ふー、登山をする前からこんな試練が待ち受けてるとはなぁ。 外は再び降りだした雪で白く染まっていた。明日の朝までには止んでてほしいな。そう思いながら眠りに着いた。 4/27 朝起きて、まず外を見る。雪はまだ降り続いている。それも結構な降りっぷりだ。今日は午前中は曇りだと思っていたんだが、甘かったか。 この分だと自転車を使うなんて無理な話みたいだ。せっかく泥除けをつけたが、自転車はおいていくことにした。 |
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着替えを済ませ、新穂高ロープウェーまで歩く。ここから登山は始まるのだが、降り続く雪に心はひどく揺れていた。この分だと双六方面は確実にトレースは期待できない。激しいラッセルが続くだろう。 30kgの重荷を背負ってのラッセルを、続ける体力はあるのだろうか?29日を過ぎたら再び天候が悪化する。その前に下山にかかれるだろうか? こうなるとネガティビスト伸二郎から不安を取り除くのは不可能に等しい。少しの迷いを経て出た結論は「槍に変更」だった。双六方面はまた来年、天気の良い日に。 そうと決まれば、荷物を減らして軽量化だと行きたいところだが、駐車場まで戻るのが億劫になり、結局、荷物を減らすことなく林道を歩き始める。うーん、あとあと響きそう。。。 登山届を書いて林道を歩き出す。トレースはあるが、激しく降る雪に半分消されていた。GWにこんな景色に出会うとはなー。 |
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白出沢近くになると、雪に埋まることが増え、スノーシューに履き替える。持ってきて良かったなぁ。 | ||
しっかし、重い。荷物を減らさんかったのがだんだん響いてきた。なんせ30kgもあるんだもんな。荷物持ってき過ぎたよ。歩みは遅々として進まず、予想時間見直さんといかんな。。。 | ||
白出沢を過ぎると林道は終わり、登山道が始まる。トレースはあったが、降雪でトレースラッセル状態。登山道は雪で見えず、トレースも正しいかどうか怪しい。冬期ルートに赤布があるだろうと思っていたが、ほとんどなく、代わりに夏道に赤布があるようだ。 途中、ルートがわからなくなり、赤布を頼りに進んでいくが、夏道はトラバースが多く、細かなアップダウンもあり、スノーシューを履いた身にはとてもつらい。 どうもおかしい、ほんとにこんな道進んでんのかとすごく心配になる。時間も猛烈にかかっており、このままでは槍平どころか滝谷までもたどり着け無い可能性すらある。 降り続く雪に体も冷え、気持ちは激しく動揺する。こんな小さなことで心配になるなんて本当に心が弱いな。双六方面行かんで良かったな。 一度荷物を下ろして辺りを見回すと、沢筋にトレースらしきものを発見。あっちも薄いが、夏道よりは楽だろうとちょっと戻って沢筋に下りる。 沢筋のトレースも降雪により少しぼんやりしていたが、夏道よりもずっと楽でしかも安全だった。もっと早く気づいていればなと思いつつも良い道に合流できたことでだいぶホッとした。これで滝谷まではたどり着けるだろう。 |
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積雪期は夏道(赤線)でなく、沢筋(青線)が歩きやすいし、わかりやすいし、危険も少ない。夏道から離れるから心配になるかもしれないが、迷わず沢筋に行くべし。 | ||
沢筋を歩き出してからはチビ谷を横切った後少し木々の中に入った他はほぼ沢筋の見通しの良い道を進み、着実に滝谷へと近づく。雪もようやく止んで、薄くなった雲から太陽の光が指す時も出てきた。 こうなると一気に気持ちは回復し、今までの心配はどこへやら、ルンルン気分で足を進める。あわよくば槍平まで行っても良いくらい。 沢が広くなり、視界が開けると右にコンクリブロックの建物が見えてきた。人の姿も見える。あれが滝谷避難小屋なんだな。雪に埋まってなくて安心した。 |
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時刻は15:50。白出沢から実に4時間かかったことになる。コースタイムの3倍近い。これじゃあ今から槍平に行くのは無理だろう。今日は滝谷避難小屋に泊まることにした。 滝谷避難小屋はそれなりに古さはあるが、なんとトイレも着いてるし、ボチボチ快適だ。 先客は1名。昨日から山に入っているようで、今日は槍平の先まで行ってあまりのラッセルに諦めて帰ってきたとのこと。昨日から一晩で70p以上も雪が積もったとか。こりゃ明日の飛騨沢は雪崩が心配になっちゃうなぁ。 |
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天気は回復傾向で夕方には晴れ間もしっかり出てきた。滝谷越しには荒々しい北穂の姿。クライマーはこの谷を進んであの絶壁を登るのだろうか。同じ登山でも世界がまるで違うな。 | ||
小屋に戻り、夕食を食べる。結局、この日、避難小屋に泊まったのは全部で3人だった。ほかに2組いたが、外でテントを張っていた。晴れて来たらより他の人を気にしなくて良いテントにしたんかな。 御飯を食べ、明日のことを少し悩む。雪崩は少し怖いので冬期ルートの中崎尾根に行こうか、でもあっちはきつそうだな。。。 結局、決まらず、明日雪の状態を見て判断することにして就寝。明日良い日になりますよーに。。。 |
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槍ヶ岳 2013年4月27〜30日 |