’05年11月13日、朝6時に家を出て木曽駒へ向かう。長野県に入ったあたりから道路の電光掲示板は氷点下を示すようになった。この時期、バイクは本当にきつい。登山をする上で、早朝出発は避けられないが、早朝の気温はバイク乗りを苦しめる。こういうときは車が恋しい。
寒さをこらえ、やっとこさ駒ヶ根市に着く。今日は駒ケ岳ロープウェーを利用して登山する。ロープウェー駅までは一般車両通行禁止であり、シャトルバスを利用してロープウェー駅まで行く。シャトルバス乗り場は高速道路出口より西に(山側に)2km位いったところにある。料金はバスとロープウェー合わせて往復3800円。
さて、さほど展望のきかないバスに揺られること30分、終点しらび平に着く。ここからロープウェーだ。駒ケ岳ロープウェーはしらび平1661mから終点千畳敷2611mまで、標高差950mを7分30秒で運ぶロープウェー。途中からは滝や四季それぞれの色合いを見せる山の木々が美しい。
ロープウェーも終点に近づくと、山の景色は緑から白に変わってきた。どうやら雪が積もっているみたいだ。ロープウェーを降り、外に出ると、そこには雪化粧をした宝剣岳を始め、屏風のように広がった山々の大パノラマが広がっていた。実に見事だ。ここまででも十分に来る甲斐があった。登山をしない人でもこの景色が味わえるなら来る価値あり。お勧めだ。 |
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ロープウェーまではシャトルバスを利用する。 |
駒ケ岳ロープウェーは標高差950mを7分30秒で登る。 |
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ロープウェー終点・千畳敷より宝剣岳をはじめとした山々を望む。実に見事な景色だ。
↑クリックするとパノラマ写真を表示します。 |
景色を楽しんだ後、早速登山開始。駒ケ岳神社横より、雪の登山道を歩く。登山者に踏まれて硬くなった中央部は滑りやすかったので端っこを歩く。今日はアイゼン等の冬山装備は無いため、注意して登る。やがて、平坦部から傾斜部に移り、ジグザグに斜面を登る形となる。写真では雪が積もっていてわかりづらいが、登山道はよく整備されており、初心者でも安心して登れるだろう。
さらに斜面を登っていくと傾斜が増してくる。この区間、八丁坂と呼ばれる急傾斜地だが、間近に迫ってくる迫力ある岩壁に見とれて、疲れはたまらない。道も依然として、きちんと整備され、安心だ。坂を上りきるあたりで振り返ると、先ほどまでいたロープウェー駅、千畳敷が岩壁の向こうに見える。すばらしい景色だ。 |
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ここが登山道の起点。これより千畳敷へ。 |
千畳敷の平坦部を歩く。道中央部は滑りやすく、何度もこけた。以降は踏み跡少ない端を歩く。 |
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やがて傾斜部を登る形となる。道はよく整備されており、危険箇所は無い。ただ、落石だけは注意が必要。 |
間近に迫る岩壁を見ながら八丁坂の急傾斜を登っていく。宝剣岳は岩の塊だな。 |
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八丁坂終点より千畳敷を振り返る。迫力ある岩壁の向こうに千畳敷駅が見えた。 |
八丁坂を登りきると乗越浄土と呼ばれる平坦部に出る。ここは風が強く、表面の雪が飛ばされたところはアイスバーンとなっていた。乗越浄土からは意外なほど小さく見える宝剣岳、中岳、伊那前岳へ伸びる稜線が見える。また、千畳敷カールの眺めは見事。 |
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乗越浄土。平坦な尾根に位置している。 |
乗越浄土は風が強く、表層の雪が飛ばされたとこではアイスバーンとなっていた。 |
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乗越浄土からは宝剣岳が意外なほど小さく見える。 |
伊那前岳方面への稜線。 |
眺めを楽しんだ後、中岳方面へと向かう。宝剣山荘にぶつかったら宝剣岳へと足を進める。宝剣岳は頂上直下に険しい岩場、鎖場があり、危険を伴うので自信の無い人は登らないのが良いだろう。私は技術も無いが不思議と自信があり、一直線に宝剣岳へと向かう。
が、そこで目にしたのは想像よりもはるかに険しい岩場。鎖はあるが、雪で足場が埋もれて道がどこかわからなくなった壁が目の前に。もともと「たいしたこと無いでしょ」と楽観していたためにショックはでかい。が、それでもわずかに残る自信を元に突撃。雪を削りながら足場を作り、慎重に登っていく。なんとか登っては次の難所といった具合に登っていくと、最後の難所が。岩場のトラバースだ。
距離は短いが、雪で足場が悪いうえ、落ちたら死んでしまいそうな崖と来た。初心者&冬装備無しの私はさすがに立ち止まって考える。引き返すのも勇気、行くのも勇気。「あれっ、どっちも勇気か。そんじゃ、行くしかねーだろ」とわけのわからん結論に至り突撃。
しっかりした足場を探りながら鎖を掴んで進んでいく。何とか渡り切り、頂上へ。誰もいない頂上で腰の抜けた記念写真を撮り、岐路へ。
下りは行きに増して危険があるので、慎重に慎重に進み、安全なとこまでたどり着く。振り返ると、先ほどまで震えながら登った岩壁に別の登山者が張り付いている。ああ、自分もああだったんだと、改めて道の険しさを実感。無事に帰ってこれたことを心から喜んだ。 |
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宝剣山荘。宝剣岳への分岐にあり、この日は目印として実に役に立った。 |
宝剣岳への道。こうしてみると楽勝な気がしてたんだが。。。 |
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突然現れた険路。垂直に近い(そう見えた)岩場を登っていく。雪に埋もれて足場がしっかりしない。恐い。 |
最後に岩場のトラバース。下は崖となっており、ほんの短いこの距離を渡る決断を下すのに5分程かかった。 |
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頂上にて腰の引けた記念写真。ダサイ写真だが、私にはこの写真が一番の記念だ。 |
ようやく安全なとこまで降りてきた。無事帰れて何よりだ。 |
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さっきまで登った宝剣岳の岩壁を振り返る。岩場に張り付くように登る登山者がいた。自分もああだったんだな。 |