猫とバイクを愛する男のツーリング、登山、
車での観光記録と愛猫の紹介。

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その1


いつも八ヶ岳に行ってるので、今回は違うところに行きたかった。遠出が多かったので、今回は家から比較的近くて登れる雪山にしようと考えていたら、冬期でも道路が通行止めにならない越百が思い浮かんだ。

土曜日の日帰り予定で考えていたが、金曜の夜、帰宅が遅くなったし、準備に手間取ったし、だるくなったので、金曜出発は止めて土曜朝発に。登り始めが遅くなるので日帰りは止めて泊りに変更にした。冬期小屋で静かな夜を楽しむとするか。

3/16
早起きは苦手である。まして快適な家の布団ではなおさらだ。当然のごとく寝坊。うーん、やっぱり頑張って出発して途中のSAで寝ておくべきだったなー。。。

登山口に着いたのは9:00。うーん、まれに見る遅さだ。。。

登山口駐車場には他に1台も車が無かった。意外だな。距離が長く、キツイコースとは言え、2,3台はあると思ったんだけどな。
なんだかんだで準備に手間取り、出発したのは10:00。やっちまったな。

他に入山者もいないようなのでトレースも期待できず、スノーシューを持ってくことにした。冬期小屋泊前提でシュラフは一回り小さくしたし、テントも持ってないのにこの荷物。やっぱり冬は荷物がかさばるな。
まずは1時間の林道歩き。秋には自転車で快走した林道もカッチコッチに凍ってとても自転車で走れるような感じで無かった。というより、歩くのも滑って怖い。転ばんように慎重に歩いて時間がかかった。
1時間ほどで福栃平へ。4合目の下のコルへは45分の案内標識。このコースタイム、ちょっと厳しめなんだよなー。よっぽど健脚な人が設置したんだろう。
福栃平から登山道を行く。トレースは結構しっかりある。雪は最近の暖かな天気で良く溶けていて、地面が見えるところも多かった。

ただ、ところどころ傾斜が強く、凍っている場所もあったので、ちょっと早いがアイゼンをつけて登った。
1時間ほどでやっとこさ下のコルへ。今日は荷物が多いからキツイ。パンをほおばり、休憩。
下のコルから上のコルへは痩せた尾根を行く。凍結が激しい場所もあって落ちないようちょっと注意。

上のコルからしばらくはアイゼンのままで歩いていたが、踏み抜くことがちょくちょくでてきたのでスノーシューに履き替えた。

ずっと急な傾斜が続くこともあって、ヒールリフターの効果を実感。アイゼンやワカンよりも楽に登れた。スノーシューをちょっと見直したな。
7合目の水場を過ぎると傾斜はさらに急になり、とってもキツイ。トレースもうっすらとしかなく、ほぼ踏み跡のない斜面を登る形になる。

よーやく8合目を過ぎて、そろそろトラバースだろうと思いきや、冬期はトラバースでなく越百小屋手前のピーク(福栃山)を直登。これがまたスーパー傾斜がきつくて、キツイのなんのって。

無雪期だと急傾斜の場所でも登山道はジグザグになっているのでそれほど傾斜は強くならないが、積雪期には登山道が雪に埋まってきれーに雪の斜面があるのみ。傾斜が強いところはそのまんまキツイ傾斜を登らなければならずとってもえらい。

このピークを越すまでに何度休憩したことか。。。
そんなキツイ登りもようやく終わり、ついに福栃山のピークへ。初めて立つのでなんだか新鮮な気分。
あとは越百小屋へ下るだけなので、ちょっと休憩。ピークから少し北に進むと展望が開けた場所がある。

少し雲が出てきたので遠くの展望は無かったが、北には木曽駒(三ツ岳&熊沢岳かな?)が綺麗だった。
東には越百山。目を凝らしたが、登山者は居ないようだ。
福栃山からの下りはトレースも早々に見失ったため、右の尾根筋を確認しながら適当に下って行った。

伸二郎は越百に2回来たことがある為、位置が何となくわかるが、赤布も少ないので初めてだと道がわからずちょっと不安になるかもなー。
森の中を下って行くと越百小屋の屋根を確認。時刻は16:00、長くつらい登りだったが、ようやく着いた。

さー、小屋で休もうと安堵感に包まれ進んでいくと、何やら様子がおかしい。小屋手前にはテントを張る為に作られた雪壁がいくつかある。

「おかしい。冬期小屋があるのになんでこんなにテント跡があるんだ?」

嫌な予感がしつつ小屋前に行くと、なんだかおかしな景色が広がっている。少しの間飲み込めずにいたが、ようやく事態を理解し、激しく心が動揺する。

「うぉー!冬期小屋埋まってんじゃねーか!!!」
無雪期はこんな感じなのに、右の営業小屋(冬期休業)の屋根や壁は見えるが、冬期小屋はすっぽり雪の中だった。
通りでテント跡が沢山あるはずだ。通りで駐車場に車が1台も無かったわけだ。みんな知ってたのか?

冬期小屋の周辺をうろつくと、小屋の横面の雪壁に横穴が開いている。
見ると冬期小屋と雪壁の間には空間があり、窓が見える。中に入って窓を調べたが鍵がかかって入れない。
外に出て、お隣の営業小屋を見て回ったが入口が開いてることは無かった。

「どうする?山を下るか?いや止めた方が良い。すでに16時。途中で暗くなる。より危険だ。」

少し小屋の周りを見ると小屋のスコップを発見。とりあえず、冬期小屋の入口付近を思われる場所を掘ることにした。しばらく掘ってくと何かに当たった。雪をかき分けると冬期小屋の屋根だった。

「ここで屋根か。てことは入口を開けるにはあと2mは掘らなければいけないのか。。。無理だ」。

ちょっと絶望し、しゃがみこむ。

ビバークしかないか。。。

幸い、営業小屋の周りには風を防げる場所がある。寝袋も冬期小屋前提とは言え、それなりに暖かなやつだ(イスカエア630・・・最低使用温度は一応-15℃。-2℃でも十分寒いと感じた寝袋だけどね。。。)。今日はたぶん-10℃までは下がらないだろう。雪面からの冷気の伝達はあるが、風邪をひくくらいで死ぬことはあるまい。

そうと決まればなるべく寒くないような寝床を造るべし。小屋脇のスペースの入口を雪でふさぎ、風が入ってこないようにして寝床完成。あとは飯食って寝るだけだ。。。
が、だんだん暗くなるにつれ、心配になってくる。

大丈夫なことはわかっているが、どこからともなく湧いてくる不安をなかなか沈められない。

落ち着かず、再び冬期小屋周りをうろうろすると、再びあの横穴が気になり、もう一度入って窓を調べる。カタカタやったが開くことは無かった。

やっぱりダメかと落胆したが、ふと見ると雪の無い空間がまだ続いているようだ。おやっと思って進んでいくと、小屋の正面に出た。雪に埋もれているが、入口も見える。軒先は全部雪で埋まることが無いんだな。
が、入口はやっぱり雪に埋もれ、開くことはない。しかし、隣の窓を見ると、一部が割れている。もしかしたら鍵が開けれるかもしれない。かすかな期待を抱き手を入れると、鍵が見当たらない。おかしいと思って窓を動かしてみるとなんと窓が開いたではないか!!!

うぉー、冬期小屋に入れたどー!!!誰もいない冬期小屋で一人はしゃぐオッサン。これで安心して夜が越せる。

その後、「空気の流れがないと重い二酸化炭素が横穴から集まってしまう」と全然問題ないような心配をして、スコップで入口周辺を掘りまくって空気の通りを良くし、満足して冬期小屋で食事を摂るのであった。

いやー、ホント良かった。良かった。


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