室戸岬、南国7月27日。午前5時起床。テントを張った徳島市内の公園は朝の散歩客でにぎわっていた。コンビニで朝飯を買って食べているとかわいい猫が近づいてくる。猫バカの伸二郎は「ちびこー」と勝手に名前をつけかわいがる。「朝からかわいい猫に会えるなんて今日はついてるかも。」 が、猫パワーもヘタレ(伸二郎)の負のパワーには勝てず、なんと走る予定だった「南阿波サンライン」はトライアスロン大会により通行止め。「俺が走る間は中止しろ」と頭の中でわめくが、中止になるわけが無くしぶしぶその場を離れる。
室戸岬へ向かうR55は外海特有の豪快な海岸線が美しい。流れも良く、南に向かうライダーの心を弾ませる。 岬までの道とは裏腹に、室戸岬はほんわかした雰囲気に包まれていた。展望台に登り何もさえぎるものがない太平洋を見る。なーんもないのが実に気持ちいい。展望台裏の風車も今日はゆっくり回ってる。
室戸岬は台風銀座と呼ばれ台風の通過が多いところだ。外海に面しているため遮るものが何も無く、波風の影響をもろに受ける。 波風から船を守るため漁港の堤防は高さが10m近くあり、台風のすさまじさが伝わってくる。 海の暮らしの厳しさと向き合い生きる漁村を前に、今日も人生の厳しさから逃亡し続けるへタレはそそくさとその場をさる。 高知県南国市。なんとわかりやすい名前だ。つけた人にはノーベルネーミング大賞を授けたくなる。そんな南国市の黒潮ラインをボケボケ走っていると突如花が咲き乱れる極楽が! 「人生から逃げ続けるこの俺をついにヘタレ大明神が迎えに来たか。でも、もうちょっと待ってよ。まだ俺はきれいなねーちゃんとイチャイチャしたいし、一戸建ての家もほしいし、オーストラリアも行きたいし・・・」 などと、いけるはずのない極楽妄想の中ですら往生儀の悪さ爆発のヘタレが訪れたのは「石土池」という池だった。池には一面の蓮が咲き乱れ、まさに極楽のようだったが、この池は特に観光スポットというわけではなく、どうやら水草が環境に及ぼす影響を調べるための試験池らしい。目的はともあれいいものを見れたと大満足で池を後にする。
高知市の桂浜は有名な場所らしい。看板が沢山出てるとの理由で訪れた桂浜は坂本竜馬にゆかりがある名所だった。歴史に疎いヘタレは桂浜という場所をついさっき知ったが、思わぬ収穫に寄り道人生を続けることを再決意。 美しい浜辺を歩き、ん十年前はきれいなねーちゃんだったであろうおばちゃんから「アイスクリン」(アイスクリームとシャーベットの中間みたいなもん)を買い、満足で桂浜を後にする。
この日は足摺岬まで行こうと思っていたが、当然いけるはずも無く、黒潮本陣で露天風呂に入った後、海岸のキャンプ場で寝る。 「せめてきれいなねーちゃんとイチャイチャするだけでも・・・」
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