白馬乗鞍のだだっ広い斜面はバックカントラーにとって天国のような場所。思い思いのシュプールを刻みながら快適に滑っている姿は実に楽しそうだ。 | ||
そんな楽しそうな様子を横目にぜーぜー言いながら急登を登っていく。雪の状態は安定しており、雪崩は起きなさそうだが、いつ地震が来るかもわからないので、休憩は短めで登った。 | ||
そしてよーやく急登を終え、平坦な斜面に。振り返ると戸隠、妙高などの北信の山並みが美しい。 | ||
急登後の斜面には見事なシュカブラ。自然が作り出す神秘的な模様にしばし見とれた。 | ||
白馬乗鞍山頂付近は広く平らな場所。雪は風で吹き飛ばされ、固くしまっている。背後に見えるのは小蓮華山。稜線は強風により巻き上げられた雪煙。風が強い場所なんだな。 | ||
白馬乗鞍山頂付近も風が強く地吹雪が常に発生。時刻は16時過ぎでうっすらと暗くなってきており、迫力倍増。 「でも大丈夫。ここまでこれば後は風裏の白馬大池山荘テン場に行くだけ。あー、安心だ。」 などと安易に考えていた伸二郎に予想外の光景が飛び込んできた。 それは風裏とは程遠い地吹雪吹き荒れる荒涼とした雪景色。登山者の気配どころかあらゆる生命の気配すら感じれない。 「怖えぇ、あんな場所で今日泊まれるんか?」 |
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急速に不安になっていく気持ちを何とか抑え込む。 「冷静になれ。大池山荘の裏は風裏だ。あそこまで行けばテントが張れる。テントが吹き飛ばされるほどの風ではない。怖いのは今だけだ。」 しかし、ミスターネガティブ伸二郎に一度不安になった気持ちを取り戻させるのは容易なことではない。さらに、吹き付ける地吹雪がボディーブローのように不安を増大させて行く。 「夜、風が強くなってテントが吹き飛ばされたらどうしよう。誰も助けに来ないぞ。。。」 不安はどんどん膨らんでいき、そして。。。撤退決意。 急いで天狗原に向けて引き返す。暗くならないうちに早くあの白馬乗鞍の急斜面を降りなければ。。。 白馬乗鞍の山頂付近で雪煙吹き荒れる小蓮華を悔しさと安堵感が入り混じった複雑な気持ちで見上げた。今回は完敗だ。。。 |
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白馬乗鞍の急斜面を下り、天狗原の入口?付近の小さな樹林帯でテントを張ることにした。ここなら雪崩も来ないし、風も弱い。 テントを設営し、夕食を食べ、ようやくホッとした。 風の音は夜通し聞こえており、安全とはわかっていても少し怖くなった。すっかり気持ちがやられてしまったな。 でも、ここでテントを張ってよかった。この分だと大池はかなりの風だったろう。向こうでテント張ってたらスーパービビッて寝るどころじゃなかったかもな。。。 いろいろなことを考えながら眠りに落ちて行った。。。 |
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白馬岳 敗退 2011年3月 |