前日の夜、相変わらず夜更かしをして、寝不足を恐れ、出発予定を7時30にした。まー、日が長い夏だから大丈夫でしょとの思惑で。 ところが、朝7時に二度寝、8時に三度寝をして、結局起きたの8時30分。そして出発は9時。うーん、これはやばいかも。でもレッツラゴーなのだ。。。 登山口までは順調だった。便ヶ島からの道は前よりも落石が少なくなって、以外に快適だった。ただ、写真のようなビッグサイズの落石もあったので、注意は必要だ。 登山口に着いたのは12時30分。準備をして登山開始したのはなんと13時。ここまで出発が遅くなるとは。末恐ろしい。 |
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易老渡への道に落ちてた落石。こんなでっかい落石に出会うのは初めてだ。 | 易老渡の駐車場。ボチボチ埋まっているが、大混雑ではない。やっぱり玄人向けの山だ。 |
登山道の始まりはこの橋から。まずは主稜線のピーク「易老岳(いろうだけ)」を目指す。 登山道が始まってすぐ、急登は始まる。ところどころ登山道が狭く、落っこちそうなのでちょっと慎重に歩いてく。 ひたすら森の中の急登が続く。つづら折れになり斜面を急登、展望の利かない尾根を急登、苔生す坂を急登。とにかく急登だ。えらい。久しぶりのテン泊フル装備の重量は運動不足の伸二郎にはスーパー応えた。 |
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この橋から登山道は始まる。さーいくか。 | しょっぱなから急登の連続。嫌になっちゃうね。 |
やっとこさ、平坦な場所に出た。苔生す静かな窪地。ここが面平(めんだいら)だ。やれやれ、やっとこさ半分かと勘違いしたが、実はまだ3分の1。先は素晴しくながーいのだ。やれやれ。 面平を過ぎると、すぐさま急登復活。そして展望ももちろん無し。これだけ展望の利かない急登がつづく登山道は久しぶりだ。 どこかの雑誌で、「憧れや尊敬の念から、光岳を百名山完登の最後の山に選ぶ人は多い。」と書かれていたが、半分ウソだ。実際のところ、これだけの急登がありながら、アルプス的な景色が望めないから後回しにしてしまう人が大半だろう。きっつーい急登をして、皆が嫌がる理由が良く分かった。 易老岳まであと5.4kmの看板を見たときは目の前に書いてあることが信じられんかったね。かなり凹んだけど、「ここまで来た以上は前に進むしかない」とひたすら急登をこらえ、ついに易老岳到着。既に時刻は17時を回っていた。とりあえず、休むか。 |
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急登も一息の面平。苔生す静かな場所。 | すぐにまた急登。そして急登、急登。。。キツイ。 |
この看板がまた、心を打ちのめす。あと7.4kmもあるの。。。たどり着けるかしらん。 | よーやく主稜線に着いた。易老岳頂上は森の中。一息つけるベンチが欲しい。 |
少し休んだ後、再び歩き始める。途中から見た光岳はずいぶん遠い。まだあんなにあんのか。 易老岳は標高2354m、今日の目的地の光小屋は2500mほど。あと150m登れば良いか、楽になったと思ったら大間違い。主稜線の登山道はどんどん下る下る。せっかく登ってきた標高がどんどん下がる。下がりすぎなんでなーい? 易老岳までの急登でほぼ体力を使い果たし、もはや下りでさえもキツイ。時刻も18時を過ぎていたので、途中で何度もビバークをしようと思った。またビバークに最適な場所が多いこと。。。でも、太陽がある限り、頑張ろうと気合をいれ、ひたすら前へ。 |
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易老岳からちょっと下ったところから光岳とイザルガ岳を望む。まだあんなにあんのか。。。遠いな。 | 何度ビバークしようかと思ったことやら。また、ビバークにぴったりな場所が多いこと。ここも良さそうだったなー。 |
この日、最大のヤマバがやってきた。三吉平を過ぎたところから始まる、枯れた沢の急登。標高差にして300mも登らなければならない。これは果てし無くキツかった。 ちょっと登っては立ち止まり、またちょっと登っては立ち止まりを繰り返し、ついに力尽きて横になる。天を仰いだ。沈みゆく太陽が木々を照らしていた。 「もう駄目だ。暗くなる前に小屋にたどり着けない。まだだいぶ距離があるからな」。本気でビバークを考えた。 しかし、今どのあたりなんだろうと思ってガイドブックを見ると、実はこの急登を終えれば小屋はすぐとわかった。なーんだ、まだずっと向こうかと思ってたよ。 |
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崩落地から眺めるしらびそ峠方面。今日はホントに良い天気だ。 | 枯れた沢の急登。標高差300m。ここが素晴しくキツかった。おそらく、ここが一番の頑張りどころでしょう。 |
ふつふつと湧き上がるパワー。あと少しとわかって、やる気100倍。立ち上がり、再び前へと歩き出す。結局、最後は気持ち次第か。人間とは面白いものだ。 急登を終えると傾斜が弱まり、景色が少し開けた。どうやらここが静高平みたいだ。これ以降はキツイ登りは無く、小屋まではあと20分ほどだ。 静高平は光岳の貴重な水場で、この日も冷たくて美味しい水が湧き出ていた。 水を飲み、容器に水を補給する。光小屋は静高平の水が汲めるときは小屋で水を分けてくれない。ここでしっかり補給しておくこと。 |
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枯れた沢の急登を終えると、静高平に着く。小屋はあと少し。 | 静高平には水場がある。ここが枯れない間は小屋で水をくれない。ここでしっかり補給していこう。 |
水を飲んだ後、どっかり腰を下ろす。まだ小屋に着いたわけではないが、この時点で、小屋に着けることを確信し、満足感と安心感に浸る。俺頑張ったな。 来た道を振り返ると、聖岳がシルエットで浮かび上がっていた。なかなか綺麗だ。自分のこころ同様、なんだかすがすがしい景色だった。 再び歩き出し、重い足を前へ前へと進め。ついに小屋の存在を確認する。センジガ原ですがすがしい気持ちで木道を進む。少し森の中を登ったら、光小屋に着いた。時刻は19時30だった。よくやったな俺。 |
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振り返ると、夕景に聖岳がシルエットで浮かび上がっていた。美しい山だ。 | この木道を渡りきると、小屋はすぐそこ。やっとたどり着いた。長かった。そして頑張った。 |
小屋の主人はとても良い人だった。テン場の受付を済ます。 テン場は小屋のすぐ上とちょっと下ったところにある。上のテン場は小屋のすぐ隣。トイレも近く人気が有り、空き地が少なかった。反対に下のテン場は誰もいなかった。 伸二郎が選んだのはもちろん下のテン場だ。離れているといっても、小屋からは20m程で近く、景色も良い。こんな場所が独占できるなんて幸せだ。 テントを張って、シュラフをひき、夜食を食べる。疲れからか、指先がしびれている。星空を撮ろうとミニ三脚を持ってきたが、結局、星空を撮ることも無く、ご飯を食べたらマッハで寝てしまった。俺らしいヘタレッぷりだな。。。 |
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