4:00、隙間風の音で目が覚める。激しい雷雨のようで、時々雷鳴も轟いている。まずいな。雪渓を下り、今日中に帰らんと行かんのに。 しばらくうだうだとしていたが、暇なので起きて食堂に行く。窓口では登山者グループのリーダーらしき人と常駐隊の人が今日の天候について話し合っていた。どうやらすぐに出発するのは危険みたいだ。 そのうち、常駐隊の人から小屋に泊まっている登山者に対し、状況の説明があった。それによると、昨日同様、前線の活動が活発で激しい雷雲がかかっており、天候が回復するのは10時前くらいとのこと。とりあえず今は小屋に待機して欲しいとのことだ。 朝食を食べ、しばらくまったりする。天気は相変わらず荒れているが、雷は鳴っていない。なんとしても今日中に帰りたい伸二郎はアイゼンを購入し、準備バッチリ。 一方のグッチは「この天気じゃ最悪、今日は山を下りれないかも知れませんねー。」などと相変わらずネガティブトークを繰り広げる。もう一日休みを取っているグッチはかなりの余裕だ。その余裕がまたムカつくぜ。 しばらくしたら登山者グループが下山を開始した。聞くと、雪渓の危険箇所に常駐隊が待機して、危険箇所を通る際、指示をしてくれるから安心だとのこと。 「こりゃ、うちらも出発するしかねー」とネガティブ大王を引き連れ、いざ、出発。風は強いが雨は降っていない。全然オッケーだ。 登山道を下っていくと、雪渓の始まりにつく頃には風も弱くなってきた。雪渓は谷筋にあるため、風の影響が少ないのだ。全然いけるじゃねーか。落石に注意をしていざ雪渓を下る。 |
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村営白馬頂上宿舎は白馬山荘に比べとても広々。畳1枚に一人のスペースがあります。人気が無い分ゆったり? | 雪渓より見た杓子岳北壁。急峻。落石も多く、この日もカラカラと小さな落石が何度か起きていた。 |
ちょっと汚れている大雪渓。谷筋のため、風も弱く荒天時も心配が少ない。ルートにはペンキが縫ってあるのでそれに従うのが安全。 | |
雨降り後の雪渓は表面が少し硬くなっており、以前下った時より滑りやすくなっていた。アイゼンをつけなかった伸二郎は体力の低下もあり(結局、ウダウダ言うグッチにアイゼンを譲ったので伸二郎は無しになった)7回もこける羽目になった。 手とザックが汚れポンチな伸二郎はもう若くないのを実感するとともに、次に雪渓を下るときはアイゼンをつけることを強く心に誓うのだった。 |
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雪渓は軽アイゼンを装備すべし。前回無しで余裕だったから今回も無しで行った伸二郎は7回もこけた。もう若く無い。 | 白馬尻にて大雪渓を振り返る。空にはどんより雲がかかっている。皆晴を信じて登っていくのだろう。きっと晴れるぞ。 |
滑ってこけながらもいくつか登山者グループを追い越し、雪渓の取り付きから1時間もかからずに白馬尻に着く。われながら良く頑張ったもんだ。 白馬尻小屋の前にはテーブルが設置されており、雪渓を眺めながら休憩を取ることが出来る。ここから先は普通の登山道と林道歩きで危険箇所は無い。下ってきた人は皆、安堵の表情を浮かべていた。伸二郎達もまた、ほっと肩をなでおろした。もう安心だ。 |
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白馬尻小屋前は絶好の休憩スポット。ベンチ、テーブルがあり、軽食をしながらゆったりと雪渓が眺められる。 | 白馬尻小屋。水場があるので、水を補給すると良い。また、アイゼンなんかも置いてありそうなので忘れた人はぜひ。 |
白馬尻からは順調に歩き、無事に猿倉にたどり着く。猿倉に着いたとき、バスは既に出ており、タクシーを使うことになった。幸いにも大阪から来ていた2人組のおばさんと乗り合いとなり、お金を節約することができた。 八方尾根で車にもどり、無事に登山終了。なんだかんだあったが、無事に帰ってきたので満足だ。 帰り道、「マックありますよ」「そこにデニーズありますよ」というグッチのセリフを蹴散らし、道の駅で食事を取る。あんまり美味しくなかったが、それなりに満足だ。 |
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林道で出会ったガクアジサイ。色合いが妙に気に入った。 | 帰り道、道の駅白馬で食べた夢白馬定食(1200円位)。イマイチ。でも、マックやガストよりは良い。 |
結局、帰り道も運転を交替することなくグッチは一人で運転し、家まで帰ってくる。行き・帰りの運転は非常に助かった。グッチには感謝だ。また、なんだかんだで二人でいたからこそ、辛い雷雨も耐えることができたし、精神的にも助かった。その点でもグッチには感謝だ。 今回は激しい雷雨に遭遇して怖かったものの、行ったことがない唐松岳〜白馬岳を走破することができ、また程ほどに良い天気で不帰ノ嶮を楽しむことが出来て満足の山旅となった。 ひとつ理想を言えばすっきり青空の下、登山がしたかった。それから。。。やっぱり山旅は一人が良いな! |
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