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みずがき山 '05年10月
剣敗退&立山ガスガス登山


 昨晩は強い風の中、一晩中雨が振ったり止んだりであまり眠れんかった。朝になっても天気は回復せず、テントを叩く雨の音が鳴り響く。グッチはやる気ゼロみたいで寝袋にもぐりこんでイモムシみたいだ。こいつは何をしに山に来てんだ?
朝から本降りの雨にやる気も消沈。あんなに近くにいるのに。 やる気ゼロのイモムシ男。こいつは何しに来たんだ?

 9時過ぎまでテントの中でウダウダするが、一向に雨は止まず、ついに剣を諦めることを決意。天気予報によると明日も天気が悪いとの事で、テントを撤収して今日中に帰ることにした。なんとも無念だが、仕方ない。

 雨が降りしきる中、テントを撤収して剣沢小屋を後にする。剣沢から剣御前小屋までは45分で着いた。この分だと、下りは30分かからんな。

 剣御前小屋から雷鳥平に下っていくと、だんだん天気が回復してきた。そして立山の姿が見えてきた。さらに下っていくと、雷鳥平をはじめ室堂方面の景色もしっかり見えるようになってきた。案外、明日天気いいかもな。
雨の中テントを撤収して剣沢を後にする。今度来るときは必ず晴れていて欲しい。 別山乗越を越えると雲が取れてきた。立山の姿もクッキリ見える。
雷鳥沢の下りから雷鳥平、室堂を望む。室堂はカルデラらしい。そういわれるとなんとなくそれっぽいような。

 回復する天気と裏腹に伸二郎のこころはどんどんモヤが広がっていった。「明日は天気がいいのか?明日晴れる可能性があるのにこのまますごすごと帰っていいんか?まだ明日一日休みを取っているのに。今日帰るのか?」

 雷鳥平から地獄谷に歩を進めるにつれてだんだんと心の中のモヤモヤが大きくなってきた。いつもならはしゃいでそうな地獄谷の風景も楽しくない。振り返れば火山ガスの蒸気の向こうに別山尾根がクッキリ見える。うーん。。。
もうもうと噴き上げる火山ガスの地獄谷。なかなかの規模だ。 振り返ると別山尾根が地獄谷の向こうに見える。なんだ、天気いいのか?

 地獄谷から心臓破り級の階段をぜーぜー言いながら上りきり、ミクリガ池に着く。立山はガスの中だった。それでも3000m級の山を映すミクリガ池はなかなか綺麗だ。晴れたらさぞ綺麗なんだろうな。

 室堂ターミナルに着いたとき、伸二郎の諦めの悪さは頂点に達した。グッチに天気予報をチェックさせる。明日は晴れ予報だ。もう決まりだ。今日、室堂で泊まり、明日立山に登って帰る。
ミクリガ池と立山連峰。頂上にはガスがかかっていた。残念。 室堂ターミナル。こんな形で終わってしまっていいのか。俺は自分にウソはつけなかった。

 グッチに今日帰るのをやめると伝える。グッチは帰る気満々だったのか、かなりショックのようだ。「明日の夜、滅多に会えないツレが来るから早く帰っておきたいんですよね。帰ってシャワーとか浴びておきたいんで、18時30分には家に着きたいんですよ。」。どうやら今日中に帰って、明日は余裕を持ってそいつに会いたいみたいだ。

 そんなグッチの要望も諦めの悪い伸二郎には通用しない。もう、今日泊まる以外に選択肢は無いのだ。そんな伸二郎にグッチもしぶしぶ了解したが、「今から雷鳥平のテン場に戻るのもめんどくさいし、山荘に泊まるのも金がかかるんで嫌です。」などとぬかす。

 天気も再び悪くなってきたので、地図で近くの山荘を探すと、歩いて5分の場所にある室堂山荘に目が留まった。電話してみると、空いているとの事。しかも個室の空きさえある。個室の料金は素泊まり一人6300円との事。安い。これは泊まるしかない。

 即決してグッチに話す。グッチはお金がかかることを気にしていたので、しゃーないから伸二郎が5000円出してやることにした。ここまで来ることにかかる労力と時間を思えば安いもんだ。金の問題が無くなったグッチは室堂山荘に泊まることに納得。晴れて室堂山荘に泊まることとなった。

 室堂山荘はホテルみたいに綺麗で、登山の山小屋を想像していた伸二郎はとても驚いた。個室はとても広く(8畳くらいかな)綺麗だ。おまけにお風呂にも入れる。お風呂はホテル並みに広く、綺麗でこれで素泊まり6300円は安い。室堂山荘は立山登山口にもなっており、立山登山を考えている人にはベリーお勧めだ。
とてもキレイな室堂山荘。立山に近くなかなか穴場かも。 この広い個室が一人6300円(素泊まり)。なんて素晴しいところなんだ。
おまけにお風呂付。登山旅で小屋にお風呂が着いてることなんてまず無い。おまけにホテル級にでかく、キレイだ。 こいつの出番は無かったな。また今度、連れてってやるからな。

 風呂に入り、誰にも邪魔されない個室を満喫する。いやー、快適快適。飯を食い、良い気分でまったりする。ところが、グッチのラジオから流れてきた天気予報は信じられないことを抜かす。「明日は6-12時 雨または曇り 12-18時曇り」。

 こいつはやべえ、もう少し、登山開始&終了を遅らせたい。しかし、グッチはしきりに早く帰らねばならないという。くそー、こんな時、同行登山の悪さが出る。とはいえ、仕方が無いので、諦めることにする。

 チェックインが早かったせいか、まだ17時30分だ。あまりにヒマなのでグッチに話しかける。

 (伸二郎)「唐松の時、進行形だったロマンスはもう終わったか」

 (グッチ)「いえ、終わってませんよ。どっちかといったら想いは強くなってるくらいですよ。」

 (伸二郎)「俺の入手した情報と違っているな、もう終わったと聞いていたが。」
 
 (グッチ)「とんでもないですよ!実は明日会うっていうのもその人なんですよ。」

 。。。ほう、さっきのはウソだったのか。’久しぶりに会うツレ’ってのは女だったのか。やってくれるじゃねーか、そんなことの為に俺の登山計画の自由を奪ってくれてたなんてな。

 フツフツと煮えたぎる怒り。明日の早い時間が天気悪そうだという嫌な予報も手伝い、伸二郎の怒りは抑えきれないくらいに高ぶっていた。そして怒りをぶつける。すねるグッチに悪化する部屋のムード。白馬大雪渓の再来かと思わせたが、山荘の快適さも手伝い、何とか和解ムードで就寝。やっぱり室堂山荘は最高だな。


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