猫とバイクを愛する男のツーリング、登山、
車での観光記録と愛猫の紹介。

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その5



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夜半から強い風が吹き、建物を揺らす。外は荒れているみたいだ。3:30に起きて、ちらっと外を見ると、吹雪。おかしい、今日も晴れるはずなのに。

ご飯を食べてしばしぼんやりしてると神奈川の男性も起きた。少し話をすると、どうやら男性の携帯(ドコモ)は通じるらしく、携帯で天気を調べるという。

天気図を見せてもらい、唖然とした。強烈な冬型じゃないか。。。これじゃあ、今日一日風雪は収まらないだろう。今日一日小屋に缶詰だ。週間天気ではこんなに強い冬型になるなんて言ってなかったのに。。。

予備日を設けてないので、会社を休まなければならない。ショックだ。。。

この日は特にすることもないのでひたすらだらだらして一日が終わった。携帯の天気予報によると明日は晴れるとか。明日に期待して寝ることにする。それにしても寒い。だんだんと寒さがひどくなっている気がするな。。。


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4:00に目を覚ますも大きな風の音でやる気をなくして二度寝。5:00に再び目を覚ましてもやっぱり風の音は大きい。昨日よりは少し弱いみたいだが、依然強く吹いてるみたいだ。

もう縦走の余裕はなく、あきらめて来た道を戻ることにする。視界さえあれば戻れる。

そんな時、神奈川の男性が外の様子を見て戻ってきた。どうだったかと聞くと、「吹雪」。。。

おかしい、今日は冬型が少し緩んで回復する予報だったのに。携帯の天気予報を見せてもらうと、またもやショックに打ちのめされた。強烈な冬型の天気図のままじゃないか。聞いてねーよ、こんなん続くなんて。。。

それでも「天気は次第に回復するかもしれない。そのうち晴れるかもしれない。」と期待したが、一向に吹雪きは止む気配がない。これはついにやばくなってきた。食料は今日を含めあと2日分しかないのだ。もし明日も同じ天気だったら食料は尽きてしまう。

急に恐ろしくなってきた。もしやこれは遭難?明日も吹雪だったら俺はここで死ぬかもしれない。そう思うといてもたっても居られなくなってきた。

神奈川の男性も同じ気持ちのようで、携帯で地元警察に救助を要請した。が、荒天ではヘリも人も来れないと言われ、ますます恐ろしくなる(そもそもヘリは怪我人がいないと飛ばないらしい。。。)。これはいよいよまずいことになってきた。寒さと恐怖で身体が震える。もしかしたら死ぬかもしれない。。。

その後、警察から紹介された小屋を管理する南アルプス市に観光課に電話をすると冬季小屋にある防災無線機を教えてもらい、それで観光課と連絡を取り合った。

何とかならないかと必死にお願いすると、たまたま残っていた食糧を分けてもらうことができ、遭難の危機をとりあえずは脱した。南アルプス市の方には大感謝。(※普段は冬季小屋に食糧はありません。食糧持参しなければ餓死します。。。)

そして外を見ると、ようやく雲の切れ間から太陽が顔を出してきた。良かった。明日はきっと晴れる。。。

結局、この日も小屋で一日を過ごして終わった。明日は絶対に晴れますよーに。。。


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運命の朝。外は。。。晴れ!!!
雲もなく、風もない。最高の天気!これで山を下りられる。嬉しい。

小屋の片づけをして8:00出発。外に出ると、雲一つない青空に北岳が堂々と聳えていた。
東を見ると柔らかな日差しにたたずむ富士。ああ、太陽ってなんて素敵なんだ。
小屋から少し歩き、稜線に出ると西側に素晴らしい展望が広がっていた。中央アルプス、仙丈の美しい共演。

昨日までの恐怖心はどこえやら、もう楽しさだけが頭を支配していた。登山は天気次第だな。
北岳頂上と八本歯への分岐に向かい歩き出す。神奈川の人と一緒に行くことにしていたが、伸二郎は遅く、神奈川の人はさっさと先に行って結局一人登山。このほうがむしろ嬉しい。やっぱ登山は一人がイチバンだ。

疲れて振り返ると朝の光を浴びた間ノ岳の美しい姿。ああ、できれば縦走したかったな。またチャンスがあれば予備日を2,3日設けて縦走してみたい。
北岳の分岐までの道は昨日、一昨日の降雪の影響はほとんどなく、容易に通過できた。冬型の時の降雪はどうやら風に飛ばされやすく、あまり積もらないようだ。

この区間は少し心配していただけにホッとした。

難なく分岐まで来ると、八本歯に向けて下りだす。正面には富士の姿。いい気分。
八本歯に来ると、尾根に雪が結構積もっていた。痩せ尾根は雪がたまりやすいようで、足が埋まる。先行している神奈川の人のおかげでラッセルが少なくて済んだ。感謝。

もうすぐ長いハシゴってとこで、不意に現れた美しい景色に見とれる。手前のピークと八本歯の頭、富士山が一直線に並び、実に美しい。

やはり、朝方の光は綺麗だ。
八本歯のコルまで下りてきて、いったん行動食を摂ったあと、ナイフリッジの急傾斜を登り返す。相変わらず怖いところだ。風が無くて本当に良かった。
八本歯への登りを慎重に通過すると、八本歯に頭到着。ふぅー、これ以降は危険個所はない。ホッと胸をなでおろした。
八本歯の頭からボーコン沢の頭まで景色を楽しみながらのんびりと歩く。風もなく、フリースや冬用手袋では暑いくらいだ。

まったり歩き、もうすぐボーコン沢。ふと見ると、稜線に凹んだ部分がある。ここでもテントが張れそうだな。3月とか少し暖かくなったらこの辺でテント張って星空を写すのも良いかもしれないな。。。
ボーコン沢の頭まで戻り、北岳を振り返る。3日前と同じようにどっしりと迫力ある景色。やはり、北岳の眺めはここからが一番だな。

眺めをしばし楽しんだ後、池山を目指し、ボーコン沢を後にした。素敵な景色をありがとう。
樹林帯に入ると、雪が3日前より減っていることに気付いた。北岳山荘では2日間雪が降り続いていたが、どうやら下のほうが降っていなかったようだ。

明るい木々の間を進んでいくと、池山御池小屋到着。時間も早かったので、今日はこのまま奈良田まで歩くことにした。
池山からの下りはきつかった。上りで苦しんだ急傾斜は下りでもきつく、ふくらはぎや膝が疲れただけでなく、足にまめがいくつもできてしまった。
きつかった下りもようやく終わり、15:30に林道に到着。ふー、少し休むか。
ここで登山が終わりなら良いんだけど、まだ12kmの林道歩きがある。冬の北岳は本当に登山口から遠い山だ。
登山口から3時間。すっかり暗くなった頃、ついに今回の登山のフィナーレがやってきた。暗いトンネルの先に見える鉄格子。戻ってきたぜ。

もしかしたら鍵が開いてるかもしれんと期待をこめ調べるが、そんなこともなく、やっぱりこれを乗り越えねばならない。

少し休憩した後、柵に取り付く。ふぬぬぬぬぬぬー!気合一発何とかよじ登ることに成功。そのまま手足の筋肉をプルプルさせながら慎重に下り、登山終了。やっと戻ってきたぞ!無事に戻れてこんなにうれしいのも久々だ。
車に戻り、着替えを済ませ、奈良田温泉に行き、電波の届くところに来たところで南アルプス警察署に無事の下山を報告。向うに人もほっとしたみたいだ。

今回はいろいろな人に心配をかけて反省だ。いろいろ考えさせられる登山になったな。。。

行きと同じようにR52を走り、清水ICから東名に乗る。途中、日本平PAの「駿河亭」で夕食。食べたのは「メバルと串揚げの定食(850円)」。個人的にはもう少しメバルの味が濃いほうが好きだが、まー、ぼちぼちかな。
東名をひた走り、0:45に自宅到着。嫁とニャンコに迎えられ、幸せいっぱい。やっぱり嫁とニャンコのいる家が一番だ。無事に戻ってこれて本当に良かった。

疲れた体をお風呂で癒し、布団へ。疲れからすぐに眠りについた。暖かな布団って幸せ。。。


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