猫とバイクを愛する男のツーリング、登山、
車での観光記録と愛猫の紹介。

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出発〜猪苗代湖
(最北の離島へ)


 いつも通り、そう、いつも通りのウダウダ具合で、朝4時30起床にもかかわらず、結局出発は6時50分になっていた。今日の予定は
 ・バイクで香深まで行く
 ・7時10分に香深を出るバスに乗り、礼文最南端「知床」まで行く。
 ・そしてそこから礼文島最北端「スコトン岬」まで11時間かけて歩く。
 ・バスで香深まで戻ってくる。
 ・バイクでキャンプ場に戻る。
だ。

 だが、キャンプ場から香深までは25分ほどかかる。ハッキリ言って、出発した時点でバスに間に合わないことは決まっていた。俺らしい。

 精一杯かっ飛ばすが、香深に着いたのは7時15分。バリバリ遅刻だった。バス停にはバスのかけらも無い。「もしやバスが遅刻しているかもしれん。」と激しく楽観的な思惑の元、焦って用意をする。バスなど来るはずもないのに、哀れなダサ男だ。

 案の定、バスなど来るはずも無く、ベリー楽観的な期待も落胆に変わった。しかし、ダサ男には素晴しいものが見えていた。バス停の目の前に見えるタクシーだ。

 早速問い合わせると、知床までは1200円くらいだと言う。レッツゴーでしょ。意味も無く急いで用意を済ませ、いざタクシーで知床へ。10分もかからずに知床に着くダサ男。ありがとうとお礼を言うと、タクシーは帰っていった。

 「さあ、歩くぜ!」。出発しようとしたその時。あることに気付く。「カメラが無い。。。」

 いくら探しても無い。必至で記憶を辿る。「確かタンクバックから一度バイクの近くの階段にカメラを置き、それから。。。うぉー、そのまんまだぜ!」

 てなわけでせっかくタクシーに乗ってきた道を歩いて帰る。頭の中はカメラが無事に残っているかどうかでいっぱいだった。もし誰かに取られていたら、今まで撮った写真が全て無くなってしまう。この旅の思い出が無くなってしまうのだ。それだけは嫌だ。

 自然と早足になり、30分で香深港に着く。そしてバイクの脇を見ると、あったよあった!カメラがあったよ!

 なんだかとても幸せな気分だった。さすが礼文島。悪い人が少ないねぇ。いい島だよ。

 結局、時間を損した分、歩く距離を短くすることにしなければならず、歩く出発点を知床から礼文林道入り口に決めた。知床から礼文林道までは1.5時間くらいだから、もともとの11時間計画から9.5時間計画に変更だ。愛とロマンの8時間コースに対抗して「愛とダサ男の9.5時間コース」ってとこか。

 礼文林道方面のバスは8時50分、まだ30分ほどある。ちょっと時間をつぶしに行くか。

 港ではフェリーが着くみたいでなにやら騒がしい。なんだろうと思って行ってみると、礼文島名物?の桃岩荘の住人がフェリーのお迎えに来ていた。大声で叫ぶ桃岩荘の住人だが、案外連帯感が無く、声が揃わずイマイチ。わが道を行く住人が多いかしらん。
乗り遅れたと思っていたバス。だが、実はもともと休みだった。学校が休みだと朝・晩の便が休みなんて。。。 礼文島の名物と言えるであろう、桃岩荘の人たち。フェリーの出迎えに気合が入る。ただ、意外に連帯感無し?

 元地行きのバスに乗り、礼文林道入り口を目指す。礼文林道入り口にバス停は無いが、礼文のバスはフリー乗車?下車?だったかな?とやらで、運転手に希望を言えばそこで下ろしてくれる。なかなか良いシステムだ。

 そんなわけで礼文林道入り口でバスを降りる。当然下りたのはダサ男一人だ。入念にチェックしたカメラはきちんとリュックに入っている。今度こそ出発だ!

 礼文林道は「林道」と名前がつくので、車も通る道だ。ゆえに傾斜は緩く、とても楽チン。
カメラを忘れたダサ男にはここがスタートだ。礼文林道の開始点。さあ、レッツラゴーだ。 礼文林道は全線ダート。ただし、車も通る道なので、傾斜は緩く楽チンだ。

 途中で、林道を外れて山のピークに登る道があるが、ここは絶対に言っておきたい。とても良い場所だからだ。「このまま楽な林道を」などと一瞬の迷いを振り切り、ピークに登ったダサ男は自分の選んだ道に満足した。

 ピークに着いた後は緑の尾根道が続く。木々の生えない尾根道はすこぶる展望が良く、色とりどりの高山植物が咲く斜面や黄緑色が美しい山、荒々しい海など、どれも素晴しいものだった。

 10分ほどで尾根道は林道に合流して、再び林道歩きが続く。林道はやがて背の高い笹に横の視界を遮られ、淡々と進む形になる。

 そして下りとなると、木々が生える森の中へと進んでいく。この森がうっとおしい。何がうっとおしいかっていうと「アブ」だ。川に行くとブンブンいるあいつだ。

 早足で歩いても何度もアタックしてきやがるし、服で叩いても頑強みたいでなかなかやっつけられない。こんなことが1kmくらい続いたあと、ようやく「愛とロマンの8時間コース」(スコトン岬から礼文林道までつづくコース)の分岐に着いた。

 8時間コースのスタートは森の中で登山道くらいの道幅だ。またもやアブの襲来をくらいそうだと心配したが、そんなことは無く、ただ景色が見えないだけの退屈な道だった。
途中から林道を外れて尾根上の遊歩道を歩く。見晴らしが良く、花もきれい。お勧め。 愛とロマンの8時間コースの終点より逆コースで8時間コースを歩く。始めは森の中。景色無し。

 しばらく森の中の上りが続いた後、つづら折れの下りとなり、下りきると景色がガラッと変わった。どうやら海岸に続く谷に入ったみたいだ。気象条件が厳しい西海岸に面した谷のせいか、木々も生えず、開放的だ。

 その反面、谷筋の崩落が激しいみたいで、草の生えない岩場は落石の危険性があった。ま、滅多に落ちてこんから良いんだけどね。

 谷筋をズンズン進んでいくと海が見えてきた。そのまま進むと寂しげな集落が現れた。この集落は「ウエンナイ」と言ってここに来る手段は今歩いてきた道を行くか、海から船で来るかのみ。まさに陸の孤島だ。寂しげに思えたのはそのせいかもしれないな。
しばらく行くと木々の生えない谷筋に出る。人っ子一人いないのがまたいい雰囲気だ。 小さな港のあるウエンナイ。休みどころがある。新鮮な刺身が安値で食べれるとのこと(お店の人の談)。

 このウエンナイでダサ男はひどく迷った。なんちゅーか、道が無いのだ。あるのは荒々しい海岸線のみ。

 「はて、どっかで道を間違えたかしらん。そんなことは無いと思うが。。。」

 あちらこちらを眺めてもどこにも道らしきものは無い。もう、海岸線を歩く以外に道は無い。しかし、どうみてもコースらしい道しるべも無いし、人っ子一人見受けられない。うーむ、自信が持てない。。。

 そんなとき、ウエンナイの集落から中学生か高校生くらいの少年が現れた。こりゃ、助かったと思い聞いてみると、やっぱり「この海岸線を行くんですよ」とのこと。やっぱりここなのか。しかし、すごいところだなこりゃ。
ウエンナイからは道でなく海岸線を歩く。最初、他に道があるかと思った。ウエンナイに人がいて良かったなー。なお、ここは落石の危険大と見た。落石には要注意だ。愛は時に荒々しいのだ。

 海岸沿いのコースは海水がかかるところも無いし、歩くのがキツイとか無かった。しかし、ずっと断崖絶壁の落石危険地帯を進む形となり、恐怖感はなかなかのものだ。

 8時間コースはひたすらなだらかな丘を行くと思っていたダサ男はビビリまくりで、誰もいない海岸線を足早に進むのだった(でも、写真を撮ることは忘れずにね。)。

 1km程危険な海岸地帯を歩くと、小さな川があり、ここで断崖区間終了。ホッとする。

 ここからいったん谷筋の急登をこなし、見晴らしの良い尾根に上り詰める。尾根をしばらく歩くと森の中へと入って行き、その後はひたすら展望の利かない森の中歩き。この区間はかなりつまらん。

 あっ、そうそう、ここで初めて人とすれ違った。彼らはダサ男とは逆のスタート地点(スコトン岬)から8時間コースを歩いてきた人達で、グループで行動していた。宿泊した民宿かなんかのツアーなんだろう。確かに、こんなに危険なら、グループ行動のほうが良いもんな。(でも俺は嫌だけどねー)。

 つまらん林道歩きを終えると視界が開け、礼文島らしい景色が広がった。やっぱこうでなくっちゃね。
海岸線を離れるとしばらく森の中。景色もみえずちょっとつまらん。愛の停滞期だな。 やがて礼文島らしい草原地帯となる。これより先はずっと見晴らしが良い。

 しばらく進むと見覚えのある景色にたどり着く。昨日バイクで来た澄海岬周辺だ。ちょっと疲れてきたので、遅めの昼飯をかねて休憩を取る。時刻は14時30分、なかなか良いペースだ。

 昨日も訪れた澄海岬近くを通過して、スコトン岬を目指す。空からは時折雨がパラパラと降ってくるが、本降りにはならなさそうだ。あと2時間、持ちこたえてくれよ。

 風が強くてぶっ飛ばされそうな澄海岬を過ぎ、鉄府漁港の町に着く。町の中を通るとかわいらしいニャンコも応援してくれて、ちょっと疲れていた心に再び元気が沸き、スピードアップ。澄海岬で出会った老夫婦をぶっちぎる。ありがとうニャンコ。
澄海岬では風が非常に強かった。横風に時折体がふらつく。愛には邪魔が多いのです。 鉄府漁港の町にいたニャンコ。丸っこくてかわいい。なんも言わんかったが、きっと伸二郎を応援してたに違いない。

 鉄府の町を過ぎると道は未舗装となり、寂しげな雰囲気に包まれる。未舗装の道の終点まで進むと、再び遊歩道のような形となり、ゴロタ岬への最後の上りが現れる。

 コースガイドを見るとゴロタ岬は巻くような図になっていたが、そんなことも無く、しっかりとピークハント。低く見えていたゴロタ岬はなかなかでかく、「やっとピークに着いたって思ったらまだあったんかーい。」てな具合になんどもピークの幻影を見た後、ようやくたどり着いた。

 そしてゴロタ岬にたどり着いたとき、初めて本日のゴールであるスコトン岬が見えた。いんやー、長かったぜ。あとちょっとだふんぬー、燃えるぜ!
あのゴロタ岬を越えればいよいよラストスパートだ。しっかし、アップダウンが多い。愛には山あり谷ありなのだ。 ゴロタ岬よりついに見えた本日のゴール、スコトン岬。むぁってろよー!

 遊歩道を進んでいくと、舗装路にぶつかった。いよいよラストスパートだ。舗装路をスピードアップしてズンズン進んでいくと、雨が少し強くなってきた。風は相変わらず強く吹いている。しっかーし、もうゴールは目前(といっても1km以上あるけど。。。)もらったようなもんだ!

 道端の美しい花の応援をうけ、スーパーパワフルに進むダサ男。きっとこの姿を見たら100万人の女子が恋するに違いない。今の姿を見せられないのが残念でならん。

 2車線の道路とぶつかった。見覚えのある道、そう、昨日バイクでスコトン岬へ向かった道だ。ゴールはもう目前だ。

 ラストまでスピードを緩めることなく突き進んだダサ男はついにゴールにたどり着く。雨は止んでいた。天もダサ男のゴールを歓迎してくれているようだ。ありがとう。

 最北限の地、スコトン岬は昨日感じた寂しげな印象は薄れていた。「愛とダサ男の9.5時間コース」をゴールしたダサ男が輝いていたからだ。かっこいいぜダサ男。
辛いとき、退屈なときに励ましてくれた色とりどりの高山植物。やはり花は良い。花があってこそ愛なのだ。 愛のゴール。礼文林道から27km、知床から香深をあわせると30km以上。よく歩いた。かっこいいぜダサ男。

 しばらくスコトン岬でダサ男を撮ってくれる人を待ち、東京から来たライダーに記念写真を撮ってもらう。記念写真を撮ってもらったのがライダーと言うのもなんか運命を感じるね。

 さあ、香深に帰るかといきたいところだが、実はバスが来るまでまだ1時間以上ある。なんちゅーか、猛烈に暇だ。岬の売店で暇つぶしをしていたが、店を閉めるとのこと。

 寂しげな外で待つのかと残念がっていると、店のオバチャンが丁度帰り道だからキャンプ場までは送ってくれるとのこと。なんという優しさ。ありがとうオバチャン。

 こうして優しいオバチャンのアグレッシブな運転でキャンプ場まで戻ってきたダサ男はマイテントで香深行きのバスが来るまでゆったり休憩。時間が来てバスに乗り込むと運転手とマンツーマンで香深に向かった。激赤字路線だな。。。

 香深で止めてあったバイクと再会し、バイクでキャンプ場に戻ってくる。そして昨日と同じようにニャンコの待つ船泊湯へ。相変わらず可愛いニャンコに癒されて素敵な時間を過ごす。ちょっと寂しいけど、船泊ニャンコとも今日でお別れ、元気で生きてね。

 キャンプ場に戻ると、飯を食って、さっさと就寝。今日は良く歩いたぜよ。


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